暑い暑いと言いながらゆかたを着て盆踊りに行くと、今年も老若男女が櫓(やぐら)を囲んで懸命に踊っていた。見よう見まねで無心に踊ると、なんとも楽しく体が解放される。汗だくの体に夜風が気持ち良く、振り返れば皆晴れやかな表情をしていた。
人が集い、一つの目的に向かって同じ時間を過ごす。それが、人に安心や幸福をもたらす。仕事においても、時間や空間を共有するとお互いの信頼関係が深まり、コミュニケーションが活性化するメリットがある。
先日訪れたデジタル関連の企業は、地上40階に洗練されたオフィスを構えている。フリーアドレスの空間で、社員はそれぞれの場所でパソコンに向かっている。静かだ。ふと中央のカフェスペースに目をやると、夏休みのビーチのごとくスイカが大量に切り並べられていた。
洗練されたオフィスとスイカの意外性に驚いた。聞けば、部署間の交流を深めるため、ランチの時にみんなでスイカ割りに興じたそうだ。デジタルを売り物にする企業だからこそ、リアルな交流を重視するのだろう。定期的に色々な企画を催しているという。
ファッションビジネスにおいても、時間を共有する場所として実店舗を開くという話を最近よく耳にする。商品を買うだけならECで十分。店は、人と人が関係を深めるためのコミュニティーという役割が色濃くなっている。