《視点》おしゃれに我慢は不要か

2017/10/31 04:00 更新


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 「おしゃれは我慢」。最近、この言葉をすっかり聞かなくなった。見た目はきちんとしているが、軽かったり、ストレッチが利いていたりして、身につけていてストレスを感じない。華やかなデザインだが、家の洗濯機でじゃぶじゃぶ洗えて、丸めて放っておいてもシワにならない。そんな服が増えているからだろう。

 素材も、着心地や着やすさを重視する機運が高まっている。本紙が来秋冬に向け、テキスタイル企業を対象に実施したテキスタイル・キーワード・アンケート調査では、実用性を重視した回答が多く、テイストやテクニックのキーワードを抑え、〝機能〟が2位に浮上した。

 個人的には、気楽に着られる服は大歓迎だ。でも、市場を思うと少し複雑な気持ちになる。例えば、洗濯の前に取り扱い絵表示とにらめっこする時間は、素材のことを知るきっかけになるし、1日着たウールコートをブラッシングする手間は、服への愛着を育んでくれるように思う。服に向き合う時間が減れば減るほど、ファッションへの関心は薄れていってしまわないだろうか。

(侑)



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