引っ越しを控え、家で整理を始めた。久々に開けた引き出しの中には家電製品の説明書が山ほどあった。ほとんど未読だが、今さら読む気にもならない。
そう言えばいつも持ち歩くiPhoneには紙の説明書は付いていない。最初は戸惑ったが、だいたい問題なく使えているし、必要ならばウェブサイトにアクセスし、公式ガイドをダウンロードできるようだ。
あるセレクトショップが、「今は商品の納品時にセールストークなどが記された取り扱い説明書のようなものを付けるデザイナーブランドもある」と話していた。確かにあれば売る方も便利だし、消化率も上がるかもしれない。
だが、それに頼り過ぎてしまうと、自店らしい伝え方や売り方、そしてバイイングにまで悪影響も与えるだろう。商品について独自に情報収集し、その魅力をいかに効果的に伝えるか。マニュアルはあれば安心という程度にしておいて、ストーリーテラーのような接客力を発揮する店が増えて欲しい。(畔)