《視点》トレンドより信頼

2017/10/17 04:00 更新


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 18年春夏レディス海外コレクションが終了したが、正直言って目新しいトレンドは見当たらない。絶対的に新しいものなど、もはやファッションでは出てこないのだろうと思うと同時に、「あえてトレンドを作らない」ことが今のムードだとも感じる。

 例えば、「グッチ」はアレッサンドロ・ミケーレ就任以来、装飾を打ち出し続けている。他ブランドがシーズンによってコンセプトを変えてくるのに比べて〝ずっと同じ〟イメージだが、この間売れ続けている。

 「ドゥーズィエムクラス」も同様だ。同ブランドでは、過去の実績商品の進化版が売れ筋に上がることが多く、店頭もあまり変化が無い。でも売れ続けている。実績商品と言っても単なるリピートではなく緻密(ちみつ)に調整を重ねる。それを売り続けることで、「時が経っても価値の変わらないものを売っている」という信頼感につながっている。

 ファッションは半年で過去のものになる移ろいやすさが魅力。かつてはそれが購買動機となった。しかし、今はそこに不信感を抱く消費者が少なくない。業界外の友人は「今買って、半年後にはもうアウトになる。それって嘘(うそ)をつかれているみたい」と話す。トレンドよりも、「ウチはコレ」というものを粘り強く続けることが、消費者の心に刺さる時代だと感じる。(五)



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