《視点》人づくり

2017/10/04 04:00 更新


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 返還不要の〝給付型奨学金〟制度を導入するための法改正が今年3月に国会で可決され、18年度から本格的に実施される。高校などの成績が優秀で進学したいのに、経済的理由で進学が難しい学生に交付される奨学金。国の奨学金に給付型が導入されるのは初めてだそうだ。

 ある私学の学長は「今は大半が苦学生で卒業までバイトで忙しく、大学生活を謳歌(おうか)できない。授業料減免や特待生などの救済制度を設けているが、貸与型奨学金は卒業後の返還が大変なので、国の底上げを期待したい」と話す。しかし、「給付型奨学金制度は制限が多く、利用できる人が少ない点が問題」と指摘する。

 給付型奨学金対象者は、住民税非課税世帯(年収250万円未満程度)で、高校の校長などの推薦が必要。給付金は月額2万~4万円で、今年度は先行的に私立の下宿生など2800人に実施し、来年度から2万人に支給する計画。一方、大学や専門学校の在学者数は約350万人だ。

 先の学長の「次代を担う人材育成は国の仕事。人づくりに力を入れない国や社会は衰える。誰もが様々な形や職業で社会貢献できるので、学費や金銭的な不安と負担を減らし、広く教育を受けられる社会保障制度を整えてほしい」との言葉に説得力を感じた。(陽)



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