趣味を楽しむ人を応援し、衣食住を提案する枻(えい)出版社がライフスタイルビジネスを拡大している。同社には建築デザイン事業部がある。今回、上野商会が出店した米「ショット」旗艦店の設計・施工・ディレクションを手掛けた。09年に1級建築士の岩切剣一郎氏が入社し、2年前に同事業部を立ち上げた。同事業部は別名「カリフォルニア工務店」を名乗る。
枻出版は雑誌『ライトニング』を軸にアメカジへのこだわりが、飲食、家具、車、バイクなどにまで広がり、そして建築、ショップ内装、不動産業へ。趣味を愛する人のライフスタイルの実現に向け、実践に踏み出した結果だ。この2年間の実績は、店舗設計・内装が約50店、住宅建築が海外を含めて約250。雑誌『カリフォルニアスタイル』の編集出版も手掛ける。
岩切氏は44歳。子供の頃、アメリカンカジュアルライフの家庭環境が彼を包んでいたと言う。そして今の生活も。「似せたものではなく、本物を自分で体験し作り上げてこそライフスタイルを理解でき、楽しむから創出もできる」と語る。企業の理念が趣味を生きがいにする人を集め、媒体で軸を作り、集まった人がさらに楽しめるように新たな事業にも足を踏み出す好循環だ。ライフスタイル事業とは人生を楽しむ深掘り事業だと教えてくれる。(稔)