この秋冬のレディスのトレンドキーワードの一つはレトロ。言葉の意味としては特定の年代を指すものではないが、今年は70年代を中心に、当時のファッションやカルチャーを懐古するようなデザインを指すのに使っている。このレトロというワード、今まで簡単に使ってきたが、それではいけないと考えさせられることがあった。
新卒でこの業界に入ってきた人や学生に向けてトレンドを説明しているときに気がついた。今頃気づいたかと言われそうだが、彼らは生まれる前に流行したファッションのことは分からないし、レトロだよねといわれてもピンとこない。どんな時代だったか、そこから説明しないと。
もう一つ、70年代ごろの流行というのは全国的な一大トレンドだったから、多かれ少なかれ、みんな同じものを見てきた。だから話が早い。しかし今は情報の海の中。流行といっても共通の認識をつくるのは難しい。
自分自身がレトロということなんだろう。話しているとそう感じてしまうが、なんとか若い人たちに分かるように説明しなければとあせっている。(赤)