《視点》売り切れ御免

2017/04/12 04:00 更新


 あるレディスブランドのECサイトをのぞくと、「在庫なし」と表示された新作商品がちらほら。そのブランドの担当者に、「機会ロスはないんですか?」とたずねると、「ありますよ」と苦笑い。発売後すぐに売り切れる品番もあるため、「販売開始時間の前から待ち構えているお客様もいる。本当に欲しい人が買えたという満足を提供したい」と話す。「いつでも買えるならセールでいい、という感覚をなくしたい」

 似た話を、別のレディスアパレルメーカーでも聞いた。「もうちょっと商品があったら売り上げがとれた、くらいが丁度いい」。プロパーで売り切れるくらいの数量を投入することで、セールに回る商材はわずか。今春も早期に新作を立ち上げた。

 プロパーが売れないからセールを長期化し、消費者はますますプロパーで買わなくなる。悪循環を断ち切るには、何かを捨てる勇気も必要だろう。

 ECなどを通じ、商品の在庫状況も何がセールにかかったかも消費者にはすぐ分かる。彼らに誠実な商いでなければブランド価値は守れない。

(石)



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