廃棄される素材で“アップサイクル・ラグ”を

2018/07/25 11:00 更新


 廃棄されてしまう生地を活用して作ったラグで子供たちに喜んでもらえたら――そんな活動を始めたのが、アパレル商社タキヒヨーでベビーキッズのデザイナーとして働く鈴木淳子さん。業務とは直接に関係がないボランティアの活動だが、同社のベビーキッズやニッターの丸安ニット(名古屋)などが素材の提供で協力する。このほど名古屋・栄のクラブで約80人の参加者がアップサイクル・ラグを作るイベントを開き、出来上がったラグを子ども食堂に贈った。

 環境問題やフェアトレード(公正取引)をファッションや企業活動とつなげられないかと考えていた鈴木さんが、偶然に子ども食堂と出会い、子供が硬い床の上で遊んでいるのを見てラグの製作を思いついた。大量に出る生地や製品のサンプルの処分に困っていた同僚の悩みもヒントになった。

 ラグを作るための2メートル四方の木枠の作製を友人に依頼。子供服のサンプルだけでは材料が足りないため、丸安ニットや中国の生地メーカーにも協力してもらった。集まった材料は太さや色、材質がばらばら。やみくもに作ればごみのようなラグになってしまうため、綿密にデザインを決めた。来場者に1本ずつ手渡し、織り上げてもらった。イベントとしても黒字を確保できた。7月29日と8月25日には廃材ニット生地でラグを作る親子ワークショップを名古屋・栄のナディアパークで開く。おしゃれで肌触りの良いラグを作るのが目標だ。

 アップサイクルはリサイクル製品をグレードアップさせるという概念で、サステイナブル(持続可能)な物作りの一つ。販売できない生地のサンプルや在庫ばかりでなく、OEM・ODM(相手先ブランドによる設計・生産)でも大量のサンプルが発生し、処分に悩む企業は多い。鈴木さんはそうした生地や製品のアップサイクルを手掛けるが、事業化には至っていない。資源のロスをなくす取り組みやサステイナブルを事業にするための模索を続けている。

ラグの上で遊ぶ子供たち


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