ユニチカT ナイロン11を衣料で本格販売へ

2017/07/05 04:20 更新


 ユニチカトレーディングは、08年に開発した100%植物由来のナイロン11「キャストロン」で、衣料繊維向けの販売を本格化する。これまで、太デニール糸を中心に産業繊維で先行したが、スポーツ・アウトドア客の環境意識の高まりを好機と捉え、広げる。

 ナイロン11は、トウゴマの種子から取れた油(ひまし油)から採取したリシノール酸が原料。100%バイオベースの合繊で、トウモロコシやサトウキビのような食用ではない、非可食植物を使うのも特徴だ。

 一般的なナイロン6と比べ、バイオマスであるほか、耐摩耗性に優れ、公定水分率が低いために寸法安定性にも優れる。比重が軽く、低温下でも柔軟性を保つ。

 ユニチカグループでは、08年から「キャストロン」として販売。ナイロン11樹脂を外部調達し、自社で繊維を製造する。これまで、耐摩耗性も生かし、1000デニールクラスの糸で環境配慮型タイヤのコードに使われるなど、資材中心に採用されてきた。

 衣料ではこのほど、40 デニール 、70 デニール の2タイプの原糸を開発し、18年秋冬スポーツ素材でテキスタイルを企画した。同社は現在、スポーツ分野でアウトドア客の開拓に力を入れており、環境対応のキャストロンを重点素材に据える。現在は織物、ニットともシンプルな生地を企画したが、今後、バリエーションを増やす。

 「原糸価格で比較するとナイロン6の3倍ほどの高さ。綿混や高次加工の工夫で、バイオマス以外の切り口でも付加価値を追求する」としている。

トウゴマの種子(左)を原料にした「キャストロン」。生地のバリエーションも拡大する


この記事に関連する記事

このカテゴリーでよく読まれている記事