ファーストリテイリングはグローバルパートナーシップを結ぶ国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)と連携した難民支援活動に力を入れている。6月20日からは難民が自ら作る手工芸品のブランド「MADE51」(メイドフィフティワン)をユニクロの国内23店や一部海外店でも販売する。UNHCRの伊藤礼樹駐日代表とファストリのシェルバ英子コーポレート広報部長にパートナーシップの狙いを聞いた。
(柏木均之)
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――ファストリとグローバルパートナーシップを組む意義は。
伊藤 世界には1億1000万人の難民、国内避難民がおり、今年はもっと増える。人道援助だけでは解決にはならず、難民の自立がこれからは非常に大切だ。民間、政府、地方自治体、学術機関など社会全体がみんなで自立を支援し、明るい未来を作っていく必要がある。
ファストリには多額の寄付もしていただいているが、それ以上に大切なことは、例えば難民の雇用だ。難民の人たちが自ら働いて得た収入で自立し、それを社会が包摂していく。そういった動きのリーダーシップを企業が示すことで社会全体にインクルージョンの動きが広がると期待している。
――MADE51は3年目だが、取り組みの手応えは。
シェルバ 22年からは手工芸品を販売しているが、難民女性が自立のために手作りしているという背景へのお客様の共感は得られた。社内でも尊い取り組みであり、大事であるという点は浸透していて、クリスマスのオーナメントに彼らの手工芸を使えないかとか、新しいアイデアも上がるようになった。
難民の方たちが市場ニーズに合う商品を作るきっかけづくりに一定の貢献はできていると思う。今回は、当社の取引先工場が検品や最終仕上げに協力してくれたし、我々が仕入れた2万8000個の商品は、難民の皆さんにとってはすごい量で、それだけの発注に応えて作ったということが、彼らの自立や自信につながればよいと思う。