ウフ代表 村上江奈美さん インナードレスで「母のきものを和装ドレスに」

2026/01/14 12:00 更新NEW!


「和装×ドレスという未開拓ジャンルを作りたい」と村上さん

 母のきものを結婚式でドレスに――そんな新しいスタイルが、地域イベントを通じて注目を集めている。ウフ代表・村上江奈美さんが開発したのは、和装ドレスを成立させるために専用設計した「インナードレス」。きものに針を入れず、着付け次第でドレスのように見せるには、美しいシルエットを安定させる〝土台〟が不可欠だった。村上さんはドレス製作の知識と和装構造の理解を融合し、誰でも再現できる仕組みを形にした。

(津田茂樹)

新しい活用法

 石川県七尾美術館では、25年11月に和装ドレスショーを開催。振袖や留袖を切らずにドレス化し、来場者にきものの新しい活用法を伝えた。ショーでは、柄や質感を生かした華やかなスタイルが披露され、地域の呉服店や作家と連携した取り組みが話題になった。

 富山県や石川県の呉服店でも、結婚式での和装ドレス提案が進み、新聞紙面で「母のきものを和装ドレスに」という見出しが取り上げられた。こうしたイベントは、伝統文化を守りながら新しい価値を創出する場となっている。背景には、着用機会の減少や「難しい・高い」という若年層の心理的ハードルがある。さらに、仕立て替えやリメイクは不可逆という不安も障壁だった。

 インナードレスは「服」ではなく仕組みとして、きものを傷つけず、誰でも美しいラインを再現できるようにすることで、成人式、結婚式、海外イベントなどきものの活躍の場を広げる。SDGs(持続可能な開発目標)やリユース、アップサイクルへの関心の高まり、インバウンド需要の回復も追い風だ。

インナードレスによって、きものを切ることなく背中を大きく見せることができる

BtoBモデル

 ウフはインナードレスを商品化し、継続的に卸をするモデルを構築した。既存のきものが使えるため、店舗側は新規仕入れ不要で導入でき、撮影やレンタルメニューなど再現性のあるサービスとして展開できる。

 サイズ展開や追加注文に対応し、OEM(相手先ブランドによる生産)も視野に入れることで、呉服店やフォトスタジオに新しい収益源を提供。震災支援や地場産業再生と連動したプロジェクトとして社会的意義も大きい。村上さんは「今あるきものを、そのまま輝かせる。誰もがその美しさを再現できる土台を、産業の側に届けたい」と語る。

 和装ドレスは単なるファッションではなく、伝統とモードをつなぐ新ジャンル。地域文化を守りながら、海外需要やSNS映えにも応える仕組みは、和文化の更新と事業の持続可能性を両立させる挑戦だ。



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