ファッション小売業40年の今だから、
日本の美意識体感できる場所を作りたい
ユナイテッドアローズの創業者で名誉会長の重松理さんが、東京・銀座に5日、「順理庵」をオープンした。自身が40年、ファッションの小売りに携わってきた末にたどり着いた、「日本の美意識を体感できる場所を目指した店」だ。伝統的な技術を駆使したテキスタイルで作る和装、洋装の両方を「自分のスタイルを持つ人」に楽しんでもらいたいという。8坪(26.4平方㍍)の小さな店に込めたたくらみを探った。(柏木均之)
屋号を書いた看板は引き戸を開けた店内に控えめに見える程度。外観から服を売る店であることを示すのは、ハンガーというより衣紋掛けに近い什器に一着だけかけたジャケットのある、出窓になったショーウインドーのみだ。
店内には小さな棚に並ぶシャツと、十数着のジャケットをつるすラック。テーブルには反物が並べられている。テーブルを挟んだ向こう側には陶器やお香を入れる器などごく小さな和の小物が点々と置かれる。
重松さんは2年後の完成を目指し、文化施設「洛遊居」を京都の鷹峯に作るプロジェクトに取り組んでいる。ギャラリーや茶屋、能舞台などから成る「足を踏み入れただけで、日本の生活文化の素晴らしさが感じてもらえる」施設だ。順理庵は、そこに作る茶室と同じ名前で、京都の施設ができるまで、少しでもその感覚を味わってほしいと作った。