TSIホールディングス(HD)は、5月25日付で代表取締役社長に社外取締役の上田谷真一氏が就任する人事を決めた。齋藤匡司社長は退任する。
TSIHDは前期(18年2月期)から22年2月期まで5カ年にわたる中期経営計画を進めており、「毎期増収増益の反転攻勢」(齋藤社長)を掲げていたが、中計初年度の業績は減収減益となり計画未達だった。
齋藤社長は米エクソン、仏ロレアルという外資や異業種の豊富な経験を買われ、15年の社長就任前から顧問として経営に参画。就任直後から希望退職者の募集、ブランドの廃止、子会社の解散などリストラ策を矢継ぎ早に実行した。またブランドポートフォリオの適正化や、思い切った改革に向けたPDCA(計画・実行・検証・修正)、KPI(重要業績評価指標)の設定といった、外資での手法を経営に持ち込み、業績改善を図った。
デジタル技術の活用も推進した。「需要予測の精度を高め、消化率を上げることで値引率の低減や生産計画を適正化する」として、センシー(旧カラフル・ボード)への出資などを通じたAI(人工知能)やビッグデータの活用でサプライチェーン全体の合理化に力を入れた。
しかし基幹ブランドの「ローズバッド」は減収。中国で販売する「M・ツボミ」も100店ほどあった店舗を大幅に絞り込むなど苦戦し、TSIHD全体の安定的な収益確保が焦眉(しょうび)の課題となっていた。
齋藤社長の退任の背景には、三宅正彦会長らとの経営路線の違いも見られ、構造改革を進める途上での社長交代となった。
略歴
上田谷 真一氏(うえただに・しんいち)東大卒、92年ブーズ・アレン・アンド・ハミルトン、95年大前・アンド・アソシエーツパートナー、04年黒田電気取締役、06年リテイルネットワークス社長、09年クリスピー・クリーム・ドーナツ・ジャパン社長、12年バーニーズジャパン社長、17年2月グロースポイント・エクイティLLP代表パートナー。17年5月からTSIホールディングス社外取締役。48歳。