20年周期といわれるファッショントレンド。その時々の社会情勢に順応しながら、素材やフォルムを変えて巡っている。しかし、そのトレンドの原点をどこまで知っているか。代表的なトレンドが生まれた背景とその火付け役となったトレンドセッターを、90年代から国内外のファッションウィークを取材している小笠原拓郎編集委員に聞いた。
(松本寧音)
洗練されたものへの反抗
まずは「グランジファッション」。洗練されたものに対するアグリー(醜い)なものです。世の中が予定調和のコンサバティブなものばかりであふれると、それに対する反抗が起こります。パンクが流行した70年代後半も、いろいろな市民革命の動きがあった時代でした。
グランジの中心にいたのがマルタン・マルジェラです。「マルタン・マルジェラ」(現「メゾン・マルジェラ」)はデビュー当初、工事現場のようなところでショーをしました。モデルは顔がほとんど見えないようなメイクで、無名のストリートキャスティング。さらに、ほぼ白のコレクションで、四つの縫い目しか付けない白いブランドタグにしていました。それはいわゆる彼のアノニマス(匿名)。これをブランドビジネスの中に持ち込もうとする姿勢がやっぱり反抗的でした。
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