《24年春夏トレンド》②クラフト&ミニマリズム 抑制の利いた知的エレガンス

2023/11/14 14:00 更新有料会員限定


 24年春夏コレクションは引き続きシンプルなデザインが多く揃った。色柄を抑えたミニマルなデザインが、知的な魅力を醸し出す。その感覚をベースにしながら、スペシャルな服を作るために、手仕事による装飾がこれまで以上に重視されている。

(青木規子、写真は大原広和、ブランド提供)

【関連記事】《24年春夏トレンド》①エキセントリックスタンダード 普通だけれど新しいスタイル

 手仕事の技術を生かした造形のデザインは、ハイファッションの価値を高めるのに欠かせない要素だ。その重要性は年々高まっている。ビーズ刺繍やスパンコール刺繍、かぎ針編み、パッチワーク、アップリケ。立体的なリボンやコサージュも多い。フリンジ、スカラップ、ペタル飾りも出ている。

 それを華やかに飾るのではなく、ミニマルなフォルムの中に収めるのが今シーズンの特徴だ。シンプルと装飾という、相反する要素を一つに収めることで、抑制の利いた美しさが完成する。はやりのクワイエットラグジュアリーに通じる知的エレガンスといえる。

ワンカラーの造形服

 クラフト&ミニマリズムを象徴するブランドは、「ロエベ」。ショー会場に展示されたアーティストのリンダ・ベングリスによるブロンズ彫刻を通して、「輪郭に焦点を当て、ファッションはシルエットへ」という方針を強調した。

 目を引いたのは、花のビジューモチーフが重なり合うジュエリーのような造形服。ファッションにおける手仕事の枠を超えて、工芸作品を服にした。それを直線的なパンツと合わせて、ミニマルなスタイルに落とし込んだ。既製服ではないが、今シーズンならではのスタイルだ。

ロエベ

 ミニマルな造形服を作ったブランドはほかにもある。「クロエ」は花のモチーフを大きく飾ったタンクドレス、「アレキサンダー・マックイーン」はロープのようなニットモチーフを身頃に飾ったドレスを出した。いずれも白や黒のワンカラー。「シモーン・ロシャ」は白いトップと黒いパンツでフォーマルにまとめた。

この記事は有料会員限定記事です。繊研電子版をご契約すると続きを読むことができます。

ログイン契約して読む

会員の方はこちらからログイン

関連キーワード電子版購読者限定連載



この記事に関連する記事