豊島が合繊素材の再生プロジェクト「テックリサイク」を立ち上げ CO2排出削減に貢献

2023/01/31 06:27 更新


テックリサイクのタグをつけた商品を1枚購入すると10円が「モア・トゥリーズ」を通じ森林保全活動に役立てられる

 豊島は23年秋冬向けでサステイナブル(持続可能な)の取り組みを深化する。新たに、3D・NFT(非代替性トークン)アバターの物作り支援も開始した。

 サステイナブルでは、ポリエステル、ナイロン、アクリルの合繊素材再生プロジェクト「テックリサイク」を立ち上げた。ポリエステルは使用済みペットボトルのマテリアルリサイクルに加え、生地のケミカルリサイクルもある。ケミカルリサイクルのポリエステルはバージンポリエステルより「CO2(二酸化炭素)排出量が約60%削減できることが証明されている」。

 ポリエステルの衣料品33枚をテックリサイクに変更した場合、杉1本分の年間CO2吸収量と同程度の8.8キログラムCO2排出を削減できる。ナイロンは商品の製造過程で発生した端材や漁網をチップにし、再生した原着ナイロン。発色が良く、色ぶれの心配もない。CO2排出を抑えるだけでなく、染色工程で使用する水の使用量削減にも寄与する。アクリルは混紡での使用が多いため、リサイクルが難しいと言われている。世界的なアクリルメーカーと提携し、工場で発生する端材を再利用するリサイクルアクリルとして訴求する。

 ポリエステルは中国、ナイロンはベトナム、アクリルはインドネシアと、豊島の海外拠点連携して、素材にしていく。

 カポック繊維とバイオマス原料のPLA(ポリ乳酸)をブレンドした「ポラック」を開発した。従来カポックは繊維への加工が難しかったが、PLAとブレンドすることで、100%植物由来の繊維として訴求する。カポックは成長過程でのCO2吸収量が大きいなど環境負荷が低く、大規模栽培や森林伐採が不要なため、循環型社会への貢献も期待できる。

 機能面では綿の8分の1という持つ軽量性、吸湿発熱、吸放湿性といった特徴がある。シート状の中わた材なので、内部がエアパック上で熱伝導率が低く、断熱効果がある。アパレル製品のほか、土木関係の土壌改質シートや手芸用資材、寝具でのニーズもあるとみている。すでにアウター用途では「アーバンリサーチ・ドアーズ」での採用が決まっている。

3D・NFTアバターの物作りもサポートする

 ウェブ3.0メタバース事業を手掛けるビヨンドコンセプトとの協業では、3DNFTアバター「メタアニ」を用いたアパレルや雑貨を中心としたライセンスビジネスを進める。

 豊島が展開するパターンデータを読み込み3Dモデリングし、データを蓄積して実績を増やすことで作業を大幅短縮。アパレルの生産工程の効率アップに取り組む「バーチャルスタンダード」を活用して、パーカやTシャツ、雑貨などを展開していく。

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