第3四半期(16年3~11月)まで増収増益を維持し、17年2月期が最終年度の中期計画で掲げた数値目標はクリアできる見通しだ。
17年度にスタートする新たな中計でも年率10%の成長を維持する方針。このため、店、商品、人材の三つをこれまで以上に強化する考えを示す。
“商品の価格と品質のバランスを意識してきた”
■増益額の全てが国内
――今期も好業績を続けている。
ただ、16年は英国のEU(欧州連合)離脱決定や米国の大統領選の結果などの影響で為替変動が著しかった。第3四半期だけで見ると、海外事業の主力である東アジアは現地通貨ベースで増益だったのですが、円ベースでは減益になり、増益額の全てが国内事業によるものだった。それだけ収益構造に大きな影響があった。
国内事業が堅調だったのは円高時に商品調達が出来ていた分、利益率が上がったのと、生活雑貨でキッチン関連とヘルス&ビューティー商品が売れた。衣料品は7、8月に既存店売り上げが落ちましたが、これは品切れが理由であくまで内的要因です。
――国内事業は客数、客単価とも回復している。
第3四半期まで国内既存店売り上げは3・2%増、客数は0・4%増、客単価も2・8%増で推移している。
この間、衣料、インテリア、食と、商品ごとに店にアドバイザーを置き、しっかり説明して売ろうとしたこと、商品の価格と品質のバランスを意識してきたことが効いています。
例えば3足1200円だった靴下を990円の価格に戻しました。値上げで売り上げは落ちることはなかったのですが、買い上げ点数が落ちてしまった。そこでデイリーに使うものは買いやすい価格に戻した方がお客様にご来店いただけると考え、価格を戻したのです。この効果は客数回復に表れました。
“生活の基本を満たす商品も拡充していく”
■年率10%成長を目指す
――17年度からは新たな中計がスタートする。
今期までは3年でしたが、次期中計は五輪のある20年までの4年にします。引き続き、売り上げ、利益とも年率10%成長を目指します。容易なことではありませんが、それができる会社にしていきたい。また、今期までの中計では、売り上げに占める物流費比率の削減や在庫効率の向上などサプライチェーンマネジメントに関する目標が未達です。次の中計ではここに焦点を当て、積み残した課題をやりきりたい。
――具体的には。
国内は店舗の大型化と小型店拡大に取り組みます。従来の825平方メートルの店を990~1320平方メートルにして品揃えを充実させる。都心にしかないカフェ&ミールを併設したコミュニティー型大型店は郊外にも出したい。330平方メートル規模の小型店も日常使う商品をベースにした店として、現状の36店を100店に増やします。
海外は、東アジアでは中国で年30以上の出店を、米国も年3、4店の出店を継続します。西南アジアも今後の成長市場とみて出店ドライブをかけます。一方、店舗改装や物流の仕組みを変えている欧州は、出店よりまず黒字化が最大の課題です。
――グローバル化をさらに進めるための施策は。
出店以外では、日本の本社をグローバル本社化していきます。2月1日付で経理・財務と法務の部署をグローバル化します。将来的に、管理系部門は日本のグローバル本社が各国の関連部署の人事も含めて統括する仕組みにしたい。
生活の基本を満たす商品ももっと拡充します。16年はシーズン中に品切れが生じ、機会ロスに見舞われたことがありましたが、今後は店頭での販売力を高めると同時に商品調達力も引き上げ、サプライチェーン全体を最適化することでロスをなくしていきます。
■良品計画の過去5年間の業績と16年度予想