東京メンズブランド 海外市場に挑戦するデザイナーに聞く

2020/03/23 06:30 更新会員限定


 東京都と繊維ファッション産学協議会は、日本ファッション・ウィーク推進機構との共催で、力のある若手ブランドの海外進出を支援する二つのアワードを毎年秋に実施している。

 第6回(19年10月)の「トーキョー・ファッション・アワード」、第3回「ファッション・プライズ・オブ・トーキョー」を受賞したブランドは、中止となった「楽天ファッション・ウィーク東京2020秋冬」で凱旋(がいせん)ショーを予定していた。このなかのメンズウェアブランドの3人に、クリエイションとビジネスについて聞いた。

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日本人が作るエレガンス

「ターク」 森川拓野


■12年に自身のブランドを立ち上げた。第3回ファッション・プライズ・オブ・トーキョーを受賞し、1月にパリで初のショーを行った。

 パリでは「挑戦者としてやる」気持ちが一番にありました。ベースのないところで集客できるか不安もありましたし、見てもらうにはどうしたら良いかをチームで共有し、会場選びから徹底的にこだわりました。テーマうんぬんは見てもらってのことですし、パリで見てもらうプラットフォームを考えた上で服作りしないと伝わらないというプレッシャーがありました。振り返ると、社内スタッフだけでなく、これまで仕事で関わってきた人たちとのチーム力で頑張れた。

 大人の服を作りたいと意識していたので、受賞できて良かったし、大きく変わるきっかけになりました。精神論で言うと、小さく認知されていないブランドで続けていくには、好きな人に売れる個性の強さがないと難しい。今までのタークは、突き抜けて凝った生地など強さを主張して「うちっぽいよね」で売れるニッチな市場を狙っていたし、ビジネス的に強いものが求められている立場であることも分かっていました。ただ、それだけでは行き詰まることも見えていて、いつ抜け出せるかなと模索していたところでした。今後はブランドとして軸を持って、好きな人だけでなく、広く受け入れてもらえるよう戦略的にビジネスができるかなと考えています。今回は柄の強さも出しつつ、コレクション全体でまとまりのある見せ方を大事にしました。

1月にパリで行ったショー

 世界的に日本のカジュアルブランドは評価されていますが、先輩たちと勝負するよりは「日本人が作るエレガンス」に挑戦したいと考えています。いつもの展示商談会だけのシーズンとは異なり、身長185センチのモデルを呼んで仮縫いしましたし、歩く姿やシルエットの動きまで突っ込んで完成度を高めました。ショーには、トランスジェンダーの黒人のスタイリストと組んだことが大きく反映されています。中性的な要素と男性的な力強さが備わったエレガンスは、僕のような日本人の感覚にはないものだし、双方の良さをミックスする仕事はとても面白かった。

 結果として、セールスも伸びています。特に国内は新規で大手のセレクトショップの受注も入りました。

根本的な価値を伝えたい

「ミーンズワイル」 藤崎尚大

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