「トーキョー・ファッション・アワード」は2月のロンドン・ファッションウィーク(LFW)に続き、今シーズンも参加。コロナ禍の海外進出支援として、20年度に受賞した「フミエタナカ」「イン」「ミーンズワイル」「リコール」「シュープ」「ユウキハシモト」の6ブランドが22年春夏コレクションをデジタル配信した。
ユニセックスのシュープ(ミリアン・サンス、大木葉平)の舞台は、どこかの戦地を連想させる荒野。ミリタリースタイルに身を包んだモデルたちは、力強い足取りで進んでいく。迷彩柄をはぎ合わせたテーラードジャケットやジャンプスーツに、ピースマークを編み込んだセーター、弾丸ベルト。背景に同化するブラウンやカーキに、鮮やかな赤やオレンジのバイクウェアが重なる。テーマはレジスタンス、個々の自由。スペイン・マドリードにあるRCサーキットで撮影した。一緒に写真家、篠山紀信との協業コレクションも披露。70年代の写真集『Nude』などから選んだ作品を服に落とし込んだ。
ユウキハシモト(橋本祐樹)が着想源にしたのは、ル・コルビジェが携わったインド・シャンディガールの都市計画や、アメリカ・メンフィスを舞台にした映画「ミステリートレイン」。それぞれに見る50年代を色濃く感じる作品に仕上がった。抽象柄を描いたタートルネックトップには、幾何学模様をレーザーカットしたシャツやメッシュのプルオーバーをレイヤード。赤や紫の強い色が若者のとがったイメージを演出する。大きめのライダーズジャケットはだぼっとラフに。コルビジェが得意としたコンクリートの造形の無機質なエッセンスも感じられる。動画配信に合わせて、東京のギャラリーにプレスらを招いてムービーインスタレーションを開いた。
(青木規子)