23~24年秋冬欧州テキスタイルトレンド クラシックを新しいバランスで

2022/07/26 06:30 更新有料会員限定


 23~24年秋冬に向けたファッションテキスタイルの商談が早くも始まった。7月中旬までに開かれた国際素材見本市プルミエール・ヴィジョン(PV)パリ、ミラノウニカ(MU)で、欧州の有力テキスタイル企業からよく上がったキーワードは「3D」「動き」「特別感」。コロナ後の祝祭ムードに乗って、遊びのある意匠が本格的に戻ってきた。注目の傾向をまとめた。

(橋口侑佳、写真=マルコ・ベルトリ、新村真理)

英国チェックにひねり

 意匠の中心になりそうなのが、古典的なモチーフ。コロナ禍の不安定な時期を経て「誰もが知っている確かな価値のあるものが求められている」(デゾリナ・ズーターPVファッションディレクター)ためだ。

 英国クラシックの代表格、チェックが台頭している。秋冬の定番でこの数シーズン人気が続いているが、正統派が大勢だった22~23年秋冬に対し、23~24年秋冬は伝統的なブリティッシュ・チェックをベースに、配色や柄のピッチ、糸使いなどで新しいバランスを探る傾向だ。トラッドテイストの強い千鳥格子もグラフィカルに描かれ、スポーツやストリートにも似合うカジュアルな生地が目立った。

 カンジョリは、コート向けにチェック柄の先染めウール織物を充実。硬くハリの強いシェットランドウール(スコットランド北部にあるシェットランド諸島産の羊毛)の人気が再燃しているという。

カンジョリ

 「クラシックな生地に、蛍光ほどではない鮮やかな色が重要」とは、マンテコ。チェック柄のダブルフェイスは、反毛されたウールわたを組み合わせて色を出した糸を使っており、無染色だ。

マンテコ

 ジュール・トルニエは、ビッグチェックツイードがラグジュアリーブランドで好評。不規則な動きがポイントで、シェニールヤーンなど様々な形状の意匠糸の中に、ラメ糸とマルチカラーの杢糸をのぞかせた。

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