帝人フロンティア 吸湿で通気性が高まるニットを開発

2021/12/08 06:28 更新


スポーツ分野など幅広く通年素材として訴求

 帝人フロンティアは、吸湿により通気性が高まるニット「ファイバライブAC」を開発した。22年度にテストセールとして5万メートル、23年度向けから通年対応素材として販売し、3年後の24年度に25万メートルの販売を目指す。

 乾燥時は通気量が50㏄以下の防風性を持つ。運動時など汗でぬれると網目が開き、乾燥時の2倍以上の通気量で、衣服内の蒸れ感を抑制する。アウターまたはミドラー向けに、スポーツやカジュアル、寝装など幅広い分野に訴求する。

 09年から販売する「ファイバライブ」を基に、ぬれた際の寸法変化率などを改善した。吸湿性の高いナイロンと疎水性のポリエステルを貼り合わせたサイドバイサイド原糸を、細径の捲縮(けんしゅく)糸で包んだ。複合原糸は、吸湿性の高いナイロンが大きく縮むため、乾いた状態では捲縮する。汗など水にぬれると、吸湿したポリマーが伸びて生地の目が開く。周りの捲縮糸によって、風合い改善や過度な伸び縮みの抑制となる。

 従来品では、ぬれると生地で約15%、Tシャツでは2サイズ以上大きくなる。そこで、結節を従来の横方向から縦方向に変えダブルニットとすることで、縦方向に目が開くようにし、5%以内に抑えた。寸法安定性に関わる、加工糸と構造の組み合わせなどで特許を出願中だ。形態安定性の高い従来のポリエステルと違うため、生地の生産管理も工夫している。周りの細径捲縮糸はリサイクルポリエステルで、サイドバイサイド原糸もリサイクル化を視野に入れている。

 現在、吸汗速乾素材「トリプルドライカラット」との交編などファイバライブACを50%以上使った生地4品番をそろえる。東京で8日まで開催中の同社スポーツ向け素材展に出している。

ぬれた部分だけ編み目が開き照明の光が透けて見える


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