帝人フロンティアが手掛けるリサイクルポリエステル繊維「エコペット(ECOPET)」が、今年で発売から30年を迎えた。運用していたポリエステルの循環型リサイクルシステム「エコサークル」を18年に休止。現在は繊維リサイクラーのファイバーシーディーエムなどと組み、新たな循環型システムの構築、実装を目指している。環境経営を強みとする帝人グループだが、「どの挑戦も荒れ地からのスタート。耕し、賛同者と一緒に仕組みを作り、運用を続けるのは苦労の連続だった」。帝人グループのポリエステルリサイクル事業の歩みと今進める「繊維to繊維」の取り組みを追うことで苦労、失敗の中から教訓を見いだし、生かすことが企業文化、強みにつながるということを記したい。
【関連記事】《繊維トップに聞く》帝人グループ 平田恭成氏 中国で培ったモデルを横展開
早くから環境経営
帝人は1918年、日本で初めてレーヨンの生産技術を確立、帝国人造絹糸として創業した。58年には東レとともに日本初のポリエステル繊維の工業生産を始め、合繊メーカーに転じた。
その帝人が廃ペットボトルを活用したリサイクルポリエステル繊維「エコペット」の販売を始めたのが95年。それ以前にも四国・松山事業所や山口県徳山事業所(17年に閉鎖)などで出るポリエステルの繊維くずなどをポリエステル繊維に戻すマテリアルリサイクルを行い技術を蓄積した。
企業としていち早く環境経営を進めていた。91年に作成した環境問題に関するリポートでは、産業廃棄物の削減や省エネルギー・省資源、リサイクルの推進などを企業として実施すべきこととし、製品のリサイクル推進やリサイクルが容易なポリマーの開発などをビジネスチャンスの一例に取り上げた。92年には帝人地球環境憲章と帝人地球環境行動目標を制定。現在の環境経営の礎となっている。
緑色の水切り袋
こうした中で生まれたのが廃棄PETボトルを原料としてポリエステル繊維に再生する「エコペット」だった。当時のペットボトルは色付きが主流でそれを原料にした再生ポリエステルも色付き。そのため自動車向けのカーペットなど用途が限られ、産業資材としての採用が中心だった。