玉川高島屋SCは、本館屋上にあるコミュニティー施設「たまがわLOOP」のアクティビティーとして、ゲストにデザイナーの中里唯馬さん、インタビューアーにファッションディレクターの萩原輝美さんを迎えたトークセッションを行った。テーマは「ファッションの未来」。ファッションを体系的に学ぶ講座「FashionStudies®」を主宰する篠崎友亮さんがコーディネートし、社会問題への取り組みについて語った。
中里は16年、日本人では森英恵以来2人目となるパリ・オートクチュールコレクションの公式参加デザイナーに選ばれて、パリで作品を発表し続けている。そこで披露した人工たんぱく質素材を使ったコレクションや、古着をエプソンの「ドライファイバーテクノロジー」で不織布のような生地に変えて、新しい服の一部としてアップサイクルした23年春夏コレクションを紹介した。開発に至った背景や環境へのメリットについて解説した。
23年春夏コレクションで使った古着は、中里が実際にケニアを訪れて回収した。「約150キロ分を持ち帰り、実験を重ねて形にした」という。次回の23~24年秋冬も同様の古着をアップサイクルしたコレクションを企画しており、ケニアへの訪問からコレクション制作までをまとめたドキュメンタリー映画の公開も予定している。
そのほか、きもののパターンを参考にした長方形の布だけを使う無駄のない物作りや、その人のためだけにデザインするオートクチュールの面白さを語った。