《小笠原拓郎の目》全く新しいものを生み出すことが困難な時代へ

2023/11/21 08:00 更新有料会員限定


「ドリス・ヴァン・ノッテン」の24年春夏コレクションから(写真=大原広和)

 24年春夏デザイナーコレクションで、スタンダードアイテムを変化させる手法が際立った。全く新しいものを生み出すのがファッションデザイナーの仕事ではあるが、今の時代は全く新しいものではなく、ベーシックを進化させる手法が主流になっている。

(小笠原拓郎編集委員)

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 デザイナーコレクションのトレンドの変化はコロナ禍を経て、ますます緩やかになっている。80年代のように毎シーズン、ドラスティックにトレンドが変わることはなく、新しいトレンドが少しずつ登場し、古くなったトレンドが少しずつ無くなっていくという傾向にある。

時代のバランス

 トレンドが大きく変化していかない中で、スタンダードアイテムの見直しが進む。デザイナーたちは全く新しいものを生み出すのではなく、それぞれのブランドのアーカイブを見直し、それを今の時代に合わせてバランスを変えるという手法をとっている。

 24年春夏コレクションのコンセプトとして、「見たことのない、ありふれたもの」を掲げたドリス・ヴァン・ノッテンの言葉が脳裏に焼き付いている。見たことのないものを作るのではなく、見たことのないありふれたものを作るという考え方が、今の時代を象徴している。

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