再利用型生理用品からPFAS検出 米研究チームの科学誌が発表

2025/08/18 17:30 更新NEW!


 再利用可能なサニタリーショーツやカップは、サステイナブルな選択肢として近年注目を集めてきたが、その安全性に疑問を投げかける研究結果が米科学誌に発表された。欧州の複数のメディアで取り上げられ、社会的関心を呼んでいる。

 米ノートルダム大学とインディアナ大学の研究チームは、月経カップ、生理用ショーツ、布ナプキン、軽度の尿もれ用パッドなど、再利用可能な製品59点を分析。その結果、全製品からPFAS(有機フッ素化合物)が検出され、うち11点は欧州で販売されている製品だった。

 同研究では、製造や輸送過程での偶発的な混入と、意図的に添加されたとみられるケースを区別。結果として、約3分の1の生理用ショーツと4分の1の布ナプキンで、添加が意図されたと判断される高濃度(110ppm超)のPFASが確認された。

 PFASは生地に撥水(はっすい)性や防汚性、ドライ感をもたらす目的で使われる。今回の研究で測定はしていないが、一部の中性PFASは皮膚を通じて体内に吸収されやすく、特に「皮膚が薄く長時間密着する部位」で使用される製品では懸念が大きいと研究者は指摘する。また、PFASは分解されにくく、廃棄後に水や土壌に長期の影響を与えることも問題視されている。

 フランスではPFAS規制法が26年から段階的に施行となる。また欧州委員会でもより広範なPFAS規制案が協議されている。生理用品のように肌への接触時間が長く、かつデリケートな使用部位に関わる製品において、PFASの使用が正当化できるのかどうか、素材選定や製造工程の透明性が、今後さらに問われることになりそうだ。

(パリ=松井孝予通信員)

関連キーワードサステイナブル



この記事に関連する記事

このカテゴリーでよく読まれている記事