テーラーバンク、お直しサービスをデジタル化 アフターケアを一括管理

2021/11/05 06:28 更新


洋服のアフターケアを一括管理する包括的なサービスを提供する

 洋服お直し業のテーラーバンク(岐阜市、永井正継代表取締役CEO=最高経営責任者)は、お直しのデジタル対応を実現し、お直しを中心としたアフターケアの包括的なサービスをオンライン窓口で対応できるBtoB(企業間取引)のウェブシステムを構築し、11月から運用を開始した。

(小川敬)

ベンチャー企業ならでは

 ファッション製品のパーソナルオーダー市場が拡大し、愛用品として長く着続けるサステイナブル(持続可能)な意識が広がるなか、洋服のお直しサービスが注目されている。同社は業界全体で遅れていた消費者の体形や数値データのデジタル化にいち早く取り組み、専門工場を始動するなどベンチャー企業ならではの視点と迅速さで、高度な技術が求められるスーツなどの仕立て直しの多量対応を可能にした。これによって顧客との継続的な関係を強めるとともに、取引企業に新しいメリットを提供する。

 新発想のシステマティックなお直しに加えて、傷や汚れ、破け、ほつれ、穴あき、色あせなどの補修、スーツやジャケットに適した専門的なクリーニング、預かり、個別宅への配送まで、商品購入後のアフターケアの全てをワンストップで利用可能なサービスに拡充した。取引企業と連携してアフターケアを一元化し、独自のルート配送も整備するなど「お直しのデジタル化」システムとして打ち出している。

 同社が実現したワンストップサービスが広く活用されることを目指して、ウェブシステムを独自に構築した。顧客はお直しのメニューに加えてクリーニングや預かりサービスをオンライン上で選択すると、仕上がった商品の発送可能日を指定することができる。店舗と工場間のコミュニケーションツールはこれまで電話やファクスが主流だった。このウェブシステムにより、各店舗のデジタルデバイスから簡単で効率的にアフターケアサービスを利用できるようになる。

専門工場を立ち上げ

 スーツのジャケットとパンツはこのところパーソナルオーダー化が最も進んでおり、こだわりがあって着用頻度が高く、アフターケアサービスを求める顧客が多い。テーラーバンクはパーソナルオーダースーツに対応することに着眼して、お直しのシステム化に積極的に取り組み、専門工場を立ち上げた。

 今回のウェブシステムはスーツをはじめ、洋服に関わるあらゆる企業を対象に分かりやすく簡単に利用できることを目的に構築した。汎用性が高くBtoBサイト事例が国内でも増加中のECプラットフォーム「ショッピファイ」を活用。そのため、顧客の情報管理やマーケティングツールとの連動など多様なデジタルオペレーションにリンクさせることも可能だ。LTV(顧客生涯価値)を高め、商品開発・改善にも役立つ。「愛着のある服を長く着続けることをサポートするこの事業はSDGs(持続可能な開発目標)な取り組みとして評価され、地元岐阜商工会議所のアフターコロナ助成金事業に採択されている」という。

関連キーワードデジタルニュース



この記事に関連する記事

このカテゴリーでよく読まれている記事