ニットを専門にするレディスウェア「ストゥー」は、ベーシックなデザインと豊かさを感じる着心地、柔らかできりりとした色柄を魅力にする。23年春夏は、メキシコの建築家、ルイス・バラガンにインスピレーションを得て、ピンクやライトブルーなど、壁面を彩る色を反映した。
「素材、ニットの作り、着心地を含めてデザインする意識を大事にしている」とデザイナーの吉田里子。ニットのポロシャツは、細番手のコットンとリネンの混紡糸を使う。柔らかで清涼感のある着心地とともに、メッシュの編地をボーダー状に配し、グラフィカルでモダンに見せた。襟元はボタン仕様ではなく、少しカーブがかかったVライン。品の良さと抜け感のあるバランスも配慮する。
カットソーでは、繊維質が長くて滑らかなスビンコットンのジャージーを使い、Tシャツなど基本のアイテムを揃えた。スビンコットンの自然な艶を生かし、カジュアルになり過ぎない大人の印象を作る。シンプルなカットのドレスは、肩の縫い目に細かいギャザーを入れ、たっぷりとした量感でドレープラインの映える一着に仕上げた。
吉田は、英セントマーチン美術大学に留学した後、国内外のコレクションブランドでニット、カットソー、小物のデザイナーとして経験を積んだ。20年8月まで「マーガレット・ハウエル」に在籍して独立。21年秋冬にストゥーを立ち上げた。