「サルバム」のデザイナー、藤田哲平はセレクトショップのミッドウエスト東京店で、25年秋冬の期間限定店に合わせ、テーラードジャケットのパターンメイキングの実演を行った。紙にパターンを引くところから開始し、臨時スタッフに縫製を手伝ってもらい、約2時間半で左身頃を完成させた。
会場となった3階のギャラリーでは8月31日まで、秋冬の新作とともに、キービジュアルに登場する3ルックのパターンを床に展示している。ミッドウエストはブランドの魅力を深く伝えるデザイナーとの協業イベントに力を入れており、「藤田さんらしいパターンメイキングをリアルに見られたら面白いなと依頼したところ、快く受けてもらえた」と大澤武徳社長は話す。
ファッションデザイナーがオリジナリティーの詰まったパターンや製作過程を公開するのは珍しい。「僕は専門学校の特別授業でも、コレクションに使ったパターンを学生に渡し、服作りの練習をしてもらっている。基本を学んだ後、どういう風にデザインを発展させて、いかに自分の色を出していくか、じかに教える、伝えることを大事にしている。それと同じ感覚です」と藤田さん。


独立する前にコレクションブランドでパタンナーの腕を磨き、デザイン画を描かずに直接パターンを引きながら、変化のある立体のシルエットを表現してきた。実演はDJのスペシャルライブを交えて行われたが、鋭い眼差しで手を動かし、「分量のバランスを考えながら形にしていく」過程を見せた。