オーガニックアベニューの新戦略(杉本佳子)

2017/01/20 00:00 更新


 ニューヨークでは引き続き、コールドプレスジュースの店があちこちにできている。特に店舗の増加が目立つのは、ジュースプレスとリキテリアだ。ジュースプレスはニューヨークだけで49店舗もできて、ニュージャージー、マサチューセッツ、コネチカットにもある。リキテリアは長年イーストビレッジで1店舗のみだったのが、現在はマンハッタンに9店舗、ボストンに1店舗を構えるまでになった。

  そうした中で、コールドプレスジュースの草分けでありながら、昨秋、突然マンハッタンにあった10店舗を閉めたオーガニックアベニュー。コールドプレスジュースの過当競争に破れたのかと思われたが、今年になって復活し、現在マンハッタンに6店舗を構えるまでになった。創業者が新たな投資家を見つけて再興したのだ。
 



 リバイバルしたオーガニックアベニューは、ロゴやイメージカラーのオレンジはそのままで、基本的なコンセプトは変わっていないが、品揃えと店内の雰囲気が変わった。特にいい雰囲気と思うのは、ブリーカーストリートにあるノーホー店だ。ストリートに面して、可愛いシーティングエリアができている。 




 品揃えで最も変わったのは、スキンケアやヘアケア商品が加わったことだ。私は、この方向性は理にかなっていると思う。コールドプレスジュースを買いにくるお客さんは、健康や美容にとても関心が高いはず。従って、ジュースでなくてもそうしたお客さんたちが興味のありそうな商品は、本来のジャンルとは違っても積極的に取り入れていいと思う。
「ジュースを売る」ビジネスから、「健康と美しさを求める女性たちの需要に応える」ビジネスへ。創業者の考えは元々そこにあったのかもしれないが、新しい品揃えでそれがより明確になったと思う。




だから食品に関しても、以前もあった惣菜に加え、オーガニックのカシューバターやココナッツバターなど、乳製品があわない子供向けの商品も売られている。この戦略が奏功するかどうかはまだ未知数だが、これがうまくいけば、いろいろなビジネスにも応用がきく考え方となり、もっと楽しくエキサイティングな売り場が増えてくるのではないかと思う。
 


 ジュースは今まで通り、豊富な品揃えがあるが、抹茶ドリンクやコンブチャなど、トレンド対応商品も加わった。コンブチャは日本でいう紅茶キノコ。私はあまり美味しいと思わないが、何故かニューヨークではマスに広まっている。
「ビーガンカフェ」も新しく加わったセクションで、ビーガンの人用のコーヒー、お茶、抹茶ラテなどが売られている。ビーガンの食べ物や飲み物もますます増えているニューヨークだ。






89年秋以来、繊研新聞ニューヨーク通信員としてファッション、ファッションビジネス、小売ビジネスについて執筆してきました。2013 年春に始めたダイエットで20代の頃の体重に落とし、美容食の研究も開始。でも知的好奇心が邪魔をして(!?)つい夜更かししてしまい、美肌効果のほどはビミョウ。そんな私の食指が動いたネタを、ランダムに紹介していきます。また、美容食の研究も始めました(ブログはこちらからどうぞ



この記事に関連する記事