廃棄生地から再生クリエーション(杉本佳子)

2016/10/06 00:00 更新


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 ニューヨーク市で不要となった服とテキスタイルを回収してダウンサイクル、リサイクル、アップサイクルできるものに仕分けする企業「ファブスクラップ」によると、昨年ニューヨーク市民が廃棄した服とテキスタイルは20万トン、全米では年間1265万トンが廃棄されている。

 企業による廃棄分は消費者が出す分の少なくとも40倍になると見られていて、その85%は再利用されず、ゴミとして処理されているという。

 このたびニューヨークのクーパーヒューイット美術館で始まった「スクラップス: ファッション、テキスタイルズ&クリエーティブ・リユース」展は、通常はゴミとして廃棄される端切れや産業廃棄物をデザインに取り込んだ3人のデザイナーを紹介している。会期は来年4月16日までと、ロングランで続く展覧会だ。

 1人は、NUNOのテキスタイルデザイナー、須藤玲子さん。NUNOはアメリカでは、MOMAを中心にスカーフでまとまったビジネスを展開している。特に、細いウールやコットンを帯用の機械で織ってつくったスカーフが、密度があるけれども柔らかくて透ける上、日本でしかできないものということで人気が高い。

 展覧会では、蚕が繭を作る際に最初に吐き出す糸で太くて硬いことから生糸に使われることがほとんどないkibisoと、生糸をつくる段階でボビンに絡まりつくogarami choshiが紹介されている。



 ogarami choshiは塗らすとくっつく性質があり、そうしてつくった布はでこぼこした紙を思わせる質感だ。「裏側から光を当てるとシルクのような光沢がきれい」と須藤さん。ということは、ランプシェードなどに使えるのかも?



 Kibisoでつくった端切れでつくった布も、ネイビーブルーの微妙なトーンの違いとステッチが非常に美しい。



 須藤さんはこの展覧会のオファーを受け取った頃、ちょうどMUJIと再生ウールを使ったセーターのプロジェクトを進めていた。須藤さんがそのプロジェクトの話をクーパーヒューイット美術館に伝えたところ、再生ウールという概念のないアメリカ人から非常に驚かれ、是非ミュージアムショップでお披露目させてほしいと言われたという。

 そういうわけで、現在、ニューヨークのMUJIとクーパーヒューイット美術館のショップのみで、再生ウールを使ったセーターが売られている。日本での販売はこれからだ。



 展覧会で紹介されている他の2人のデザイナーのうち、1人はインドのサリーを使った服をつくっているクリスティーナ・キムさん。


 ロサンゼルスを本拠にドサというブランドをやっていて、サリーの残り布をとことん無駄にしないことにこだわっている。残り布を丸くカットして止めつけるなど、細かい手作業で美しい布をつくりだす。
 



 もう1人は、ルイーザ・チェベーゼさん。ミラノのテキスタイルデザイナーで、セルビッジをポリウレタン樹脂に挟みこんだ作品が展示されている。このようなバッグやポーチ、見覚えのある人は多いのでは?京都の細尾とも協業している。







89年秋以来、繊研新聞ニューヨーク通信員としてファッション、ファッションビジネス、小売ビジネスについて執筆してきました。2013 年春に始めたダイエットで20代の頃の体重に落とし、美容食の研究も開始。でも知的好奇心が邪魔をして(!?)つい夜更かししてしまい、美肌効果のほどはビミョウ。そんな私の食指が動いたネタを、ランダムに紹介していきます。また、美容食の研究も始めました(ブログはこちらからどうぞ

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