「シュガーヒル」(林陸也)は6月12日、東京都内で24年春夏のショーを行った。タイトルは「オービット」。強みのアメリカンカジュアルをベースに独自のスタイルを作り上げてきたが、「一方向に進む線の軌道から、円を描き始めた」というブランドの今と未来の対比を表現した。
会場は、東京オペラシティのガレリア。開放感のある高い天井、緩やかに広がる階段の通路を、リラックスしたムードでモデルたちが登場する。透かし編みのカーディガンにケミカルウォッシュのデニムパンツ。カギとなるのは、素肌を感じさせるテクスチャーだ。ウェスタンシャツはシアーなジャカードチェック、ピンクにブルーを差したオンブレチェックのロングシャツも透け感のあるシフォンを使う。アメカジの定番を軸に、男性的な官能性をクリーンに表現するバランスが目を引いた。クラッシュ加工のデニムも、レースのように細かい穴がたくさん開いていて素肌がのぞく。
何気ない着こなしでも、ジャストフィットのサイズ感を交え、大人びた表情を引き出す。ビンテージ加工のデニムに、グレンチェックのテーラードジャケット。ウエストが若干シェイプされて艶っぽさが漂う。スウェットのフーディーにはコンパクトなデニムベストをレイヤードして品のある雰囲気。ビンテージスタイルに愛着を持ちながら、今に引き付けてどう昇華させるか。新しさを探るポジティブな姿勢を感じる。
(須田渉美、写真は加茂ヒロユキ)