古民家や町屋など古い建物をリノベーションした物件が、専門店の出店先として注目されている。背景の一つには、にぎわいのある都心やワンストップで何でも揃う便利な大型モールを避け、落ち着いたくつろげる環境で買い物を楽しむコロナ禍の行動様式が、コロナ後も好まれていることがある。長い年月を経た建物の味わいに店主の思いを乗せた心地良さで、客を引き付ける。古民家や町屋は設計や建築の様式が現代とは異なるため、密閉性やネット回線などの面で使いずらさもある。だが、それを上回る魅力にあふれている。
イデアノート 「ここで商売をしたい」
近江八幡市の旧市街地に残る江戸期創業の酒蔵。廃業し、住む人も使う人もいなくなった建物を、昔ながらの形で残し、街並みや景観を守りたいと、12年に近江八幡まちや倶楽部(宮村利典代表)が取得した。当初は宿泊施設やアートの発表の場などに活用していたが、17年に、まちや倶楽部初の常設のショップとしてアパレルや雑貨、ビンテージパーツなどを扱うイデアノートが出店した。以来、同じ思いの人たちが次々に「ここで商売を始めたい」と訪れ、現在、直営1店を含め、8店が店を構えている。
この記事は有料会員限定記事です。繊研電子版をご契約いただくと続きを読むことができます。
すべての記事が読み放題の「繊研電子版」
単体プランならご契約当月末まで無料!