14年にジュエリーブランド「シハラ」の直営1号店としてオープンした東京・神宮前の「シハララボ」が、シハラがキュレーションする、ジュエリーを軸にした多面性のあるスペースにリニューアルした。22年に表参道に設けた新たな旗艦店「シハラトウキョウ」のオープンに伴い、シハララボは直営店の役目を終えたとし、新たなコンセプトのもと生まれ変わった。
1階のストアスペースは、シハラ、及び「ユタイ」のデザイナーである石原勇太が、自身とは異なる要素を持つデザイナーや、リスペクトできる技術や表現を持つとしてピックアップした5ブランドとユタイの計6ブランドを販売する。それぞれ、石原がトレードショーや卸を通じてシハラの販路を海外へ広げるなかで出会ったブランドだ。各クリエイターに、ショップコンセプトへの賛同を得て仕入れている。
アムステルダム発の「ビビ・ヴァン・デル・ヴェルデン」は、動物や虫、ユニコーンや竜巻など自然界やファンタジーのインスピレーションを元に伝統工芸技術を取り入れたジュエリーを作る。玉虫のピアスは、本物の羽根を加工してジュエリーにしている。イモムシがくるりと指に巻き付くデザインのリングは、ユーモラスなフォルムと緻密(ちみつ)な加工のギャップに驚く。
ニューヨークを拠点にするコソボ出身の「ニコール・ラディ」は、極細のプラチナ線で編み模様を作り、イエローゴールドとコンビにする。クロアチアで宝石店を営んでいた父親からジュエリーの技法を学び、自作の道具を使ってコレクションを作製する。いずれも、ユニークなアプローチでジュエリーと向き合うブランドばかりだ。
「日本には、これがジュエリーのサイズ感みたいなものがある。けれど世界にはそうでないものがたくさんある」と石原。そうしたジュエリーを見せる場を作り、知ってもらうことで業界の活性化につながればとの思いがある。ショップの2階はプライベートラウンジ。今後、ジュエリーにまつわる展示やトランクショー、ワークショップなども企画できればとしている。