新型コロナウイルスの影響による当社運営施設の休館に伴い、4、5月の約2カ月間は完全在宅勤務となりました。シブヤ109ラボの活動についても、毎週実施していたグループインタビューをオンラインでの開催にし、LINEのウェブアンケートを活用するなど今できる方法でアラウンド20(15~24歳の男女)との接触を継続しています。今回は、この自粛期間を経たアラウンド20たちの「お出掛け」「ファッション」に対する意識の変化について見えてきたことを紹介します。
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○体形や肌ケア重視へ
まず、外出自粛期間の前後で変化した「見た目のこだわり・意識しているポイント」について着目します。
シブヤ109ラボの独自ネットワークに属するアラウンド20を対象にしたアンケートでは、外出自粛前は服やアイメイクへのこだわりが強いのに対し、外出自粛後は体形・肌ケアへのこだわりが高まっていることが分かります。
グループインタビューの中では「外側を飾ることばかり気にして、一瞬が良く見えれば良いという価値観だったが、表面だけじゃダメだと感じてスキンケアに時間をかけるようになった」「肌をきれいにしたり、運動をすることで自分そのものを内から良くしていきたい」などの声が多く、外見を装飾するよりも内面を整えることへの意識が高まっていることが分かりました。
○お気に入りの1着を
このような価値観の変化はファッションの購買に対する意識にも通じています。
〝ビフォー・コロナ〟のアラウンド20は、外出先や会う友人に合わせてファッションテイストを変化させるため、質よりも量を重視したファッション購買が中心でした。〝ウィズ・コロナ〟の世界でもファッション=コミュニケーションツールであることは変わらないと思いますが、外出する頻度が減ったことで、購入するファッションアイテムは量よりも質を重視するようになりそうです。
グループインタビューでは、「部屋を掃除して大量の洋服を整理した。セールでたくさん買うのではなく、お気に入りの一着をちゃんと買いたいと思った」「購入する量が減ると思うので、今後はこれまで買っていたブランドの一個上の水準のものを買う予定。本当に気に入った物にお金を使うようになるかもしれない」など、服の買い方を見直すような回答が目立ちます。
○「とりあえず渋谷」は減る
そしてアラウンド20たちは、緊急事態宣言解除後の今も、かなり慎重に行動をしています。お出掛けについても、不要不急の外出は引き続き控えており、電車に乗ることや人混みの多い都心部に出ることに抵抗感・警戒感があるという声を多く聞きます。
今までは友達との予定も「とりあえず渋谷に集合する」といったように、目的なく街に遊びに来ていましたが、今後しばらくの間は外出の目的を明確にし、一回のお出掛けの精度を高める動きが増えそうです。
「欲しいものや行きたい場所について事前に細かく目星をつけたうえでお出掛けをする」「出掛ける前にあらかじめ買いたい物や行きたい所を決め、買ったらすぐ帰る。街ブラはしない」という声が多くなっています。
これからの特に都心に位置する街や施設は、様々な選択肢のなかから移動手段や人混みなどのリスクを負いながらも来街・来店する目的となる「理由づくり」と、来街・来店以外でのターゲットとのコミュニケーションのあり方を検討していくことが急務となりそうです。