「シブヤ109ラボ所長の#90年代カルチャーの楽しみ方」

2020/04/12 06:29 更新


 90年代のカルチャーをアップデートして楽しむ若者が増えています。平成の終わりを目前にした18年も同じような流れがありましたが、2年前とは違った形で過去のカルチャーがアレンジされて楽しまれています。

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◇コミュニケーションに

 約2年前といえば、90年代を生きる若者のバイブルであったギャル雑誌『エッグ』がウェブ版で復活するなど、当時を過ごした大人が懐かしむだけでなく、当時を知らないアラウンド20(15~24才の男女)に新鮮に映り、注目が高まりました。彼女たちのオピニオンリーダー的存在であるkemioさんや水原希子さんを中心に、90年代カルチャーが発信されたことも大きなきっかけでした。

 しかし、アラウンド20は原色やアニマル柄など、はっきりした色使いが特徴の90年代を代表する〝ギャルファッション〟を「90年代風コンテンツ」として楽しんではいましたが、マネをして自分に取り入れる子はほとんどいませんでした。  

 それに対して今は、彼女たちの間で「レトロ感」が大きなトレンドになっています。特にSNSを中心としたスマホ上のコミュニケーションの中で見かけることが増えました。見て楽しむだけだった過去のカルチャーが、彼女たちのコミュニケーションに取り込まれているということです。

SNSではこうしたコラージュ画像が多く投稿されている

 最もよく見られるのは、写真や動画加工です。撮影した写真は加工アプリを使って、インスタントカメラで撮影したようなテイストに変えています。今はスマホのカメラの性能が高まり、解像度が非常に高い写真を撮ることができますが、アラウンド20たちはざらつきのある加工を施すことでレトロな雰囲気を演出し、「エモさ」を表現できることに価値を感じています。

◇現代版の「プリ帳」

 また、最近の動向として最も特筆すべき傾向は、コラージュ画像の投稿です。90年代の若者は、撮影したプリクラや好きなアイドルなどの写真を切り抜いたものでコラージュをつくり「プリ帳」という形で楽しんでいました。

 現代の若者たちも、それに近いことをデジタル上で楽しんでいる傾向にあります。複数枚の写真を選び、背景透過した画像を好きな位置に配置し、文字を書き込み、コラージュ画像を作り上げる。この工程では、「ibispaintX」「Phonto」「PicsArt」など、複数の加工アプリを駆使していることが多く、今のアラウンド20はこれまでパソコンで特別なソフトや技術がないとできなかったことをアプリのみで実現しています。

 雑誌から好きなファッションアイテムを切り抜き、ノートに切り貼りしてコラージュを作るように、スマホだけで写真や動画の編集・加工を簡単にやってのけているのです。

 また、スマホで作成した画像を通称「ネップリ」(ネットプリントの略称)で印刷し、背面がクリアになっているスマートフォンケースに入れ込むことも主流になりました。自分好みに編集し作り上げた作品は、手作りグッズとしてオフラインでも楽しみ、完成したものはまたSNSにアウトプットしています。

 ネットもリアルもどちらもリアルである今のアラウンド20ならではのカルチャーの楽しみ方であり、当時を知る大人から見たら感心するような文化のアップデートとなっています。

●長田麻衣(おさだ・まい)
シブヤ109ラボ所長。総合マーケティング会社で、主に化粧品・食品・玩具メーカーの商品開発・ブランディング・ターゲット設定のための調査やPRサポートを経て現職。毎月200人の若者と接する毎日を過ごしている。好きなものは、うどん、カラオケ、ドライブ。今年の目標は、東京以外の都道府県で若者セミナーに登壇すること。若者マーケターとしてTV出演も果たしたい!

(繊研新聞本紙20年4月10日付)



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