CCCマーケティングとのビックデータと定性データを融合させた共同調査第2弾として、大阪の女子大生(JD)の生態調査を実施しました。大阪をキタエリア(梅田周辺)とミナミエリア(なんば、天王寺、心斎橋周辺)に分け、それぞれのエリアに生息するJDの特徴を明らかにしつつ、東京と大阪の女子大生の比較を行っています。
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情報取得に地域差なし
今回の調査で実感したのは、アラウンド20(15~24歳の男女)世代に情報取得の地域差はほとんどないということです。
実際にウェブ調査の結果でも、利用しているSNSやお金を使うことに関して、東京と大阪で大きな違いはありませんでした。大阪で街頭調査やグループインタビューも実施しましたが、服装やメイクなどの外見について、キタは今の若者のマストレンドである「ミルクティーコーデ」「消えそうな色コーデ」、ミナミは古着系が多いなど、各エリアによって特性は見られたものの、東京との差を感じることはほとんどありません。
人気のインフルエンサーやトレンドワードに関しても東京と大阪で同じ回答が非常に多く、SNSが主な情報源であるアラウンド20にとって、居住エリアの違いによる情報取得のスピードやトレンドに差が生まれにくくなっていることが考えられます。
実際にトレンドとなるカフェや話題のインフルエンサーが生まれる場所も、東京だけでなく大阪やその他の地方エリア発祥のものが増えており、地域関係なくトレンドが生まれる可能性が高まっていると言えるでしょう。
ローカライズの有無
東京と大阪という離れた土地でも、消費傾向やファッションの意識が類似していることも分かりました。エリア別にみてみると、渋谷と大阪ミナミ、新宿と大阪キタがファッションに対する意識において似た傾向があります。
大阪ミナミは「人とかぶらない」「人目につかない部分もこだわる」といった、渋谷と同様に「独自性」を重視し一味違うオシャレを追求しており、大阪キタは「事前の情報収集に力を入れる」「周囲の目を気にする」という意識が高く、新宿と同様「外さないファッション」を心掛けている傾向にあります。
渋谷と大阪ミナミはファッションビル以外に、古着屋やそこにしかないアパレルブランドが多く、点在している店を回遊し、自分だけのファッションを探すことに適した街です。一方、新宿や大阪キタはターミナル駅であることから大型ファッションビルに多くのブランドが集積しており、ファッショントレンドのチェックがしやすいという共通点をそれぞれ持っています。
居住地域やよく遊ぶエリアごとの意識・実態の特性と、環境に左右されない若者の特性を理解することで、ローカライズすべきことと、しなくても通用することを判断する材料となります。
(繊研新聞本紙20年3月13日付)