「シブヤ109ラボ所長の#男子の実態」

2020/02/24 06:27 更新


 Z世代(18~24歳)への関心が高まり、若者トレンドに関する情報も多くみられます。しかし、その多くが女子に関するもので、男子に関しては少なく、実態が見えにくいのではないでしょうか。シブヤ109ラボでは、アラウンド20(15~24歳)男子を対象にウェブ調査を実施し、アラウンド20女子と比較することで実態を明らかにしました。

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インスタではない

 アラウンド20男女の情報収集については、男子はツイッターや検索エンジン、女子はインスタグラムが主流です。情報収集におけるインスタグラムの活用率は男女でかなりの差があるのですが、これには明確な理由があります。インスタグラムでは男子に関する情報収集環境が整備されていないからです。

 たとえば、インスタグラムで男子がファッションを調べたいと思っても、どうしても女性のコーディネートが先に出てきてしまい、男性のこれだ!と思う情報を見つけるのにかなり時間を要します。情報の発信・収集どちらも活発な女子の情報に埋もれてしまうのです。女子は「ベージュ色で統一したコーディネート」を「消えそうな色コーデ」と呼ぶなど、SNS上の検索ワードも豊富で、積極的に友達と情報交換していることも男子とは異なる点です。

 このような現状から、自分だけで簡単に思いつく検索ワードを複数入れることができるツイッターや検索エンジンでの情報検索がメインとなるのは当然といえるでしょう。

無難なスタイル選ぶ

 ファッションについて、アラウンド20男子は「着回し」「長く着られる」「服の品質や機能性」を重視しているのに対し、女子は「自分らしさ」を重視する傾向にあります。服を選ぶ際の意識についても、女子は「これがいい!とこだわりを持って選んでいる」と回答した人が7割弱を占めましたが、男子は「これでいいやと妥協」もしくは「こだわらずに選んでいる」が約半数と、男女で意識に差があることが分かりました。

 商品選定時の「これがいい!」と「これでいいや」の意識については、ファッション以外の項目でも聴取しましたが、靴やバッグ、アクセサリー、スキンケアなど、ほとんどの項目で女子の方が「これがいい!」とこだわりを持って選んでいるのに対し、男子は「時計」「PC・スマホ等電子機器」以外のカテゴリーについては「これでいいや」という意識で選定していることが分かっています。

 好きなファッションブランドについても聞いてみたところ、男女ともに最も多い回答は「特になし」。2位以降は、男子は「ユニクロ」「ジーユー」、女子は「ジーユー」「イング」と続きました。


 アラウンド20は可処分所得も少ないため価格を気にしていることはもちろんなのですが、女子はリアル・SNSで複数のコミュニティーに属し、いくつも自分を持っているため、その日の気分や一緒に遊ぶ友達に合わせてファッションテイストを変えるという特徴があります。そのため、様々なテイストを使いこなすためにも、服をブランドよりもテイストや着回しできるかどうかを基準に選んでいる傾向にあります。

 これに対し男子は、女子よりもファッションに対する関心が低く、どこに着て行っても浮かない無難なスタイルを選ぶ傾向が強いようです。中にはブランドよりもシルエット(足を長く見せる・大きめサイズを着るなど)やコーディネートの中のワンポイント(スニーカーにこだわるなど)を意識しているという声もあるため、好きなブランドやテイストで判断するのではなく、「コーディネートを作る際に意識している」ことも、ヒアリングしてみるとより理解を深めることができます。

●長田麻衣(おさだ・まい)
シブヤ109ラボ所長。総合マーケティング会社で、主に化粧品・食品・玩具メーカーの商品開発・ブランディング・ターゲット設定のための調査やPRサポートを経て現職。毎月200人の若者と接する毎日を過ごしている。好きなものは、うどん、カラオケ、ドライブ。今年の目標は、東京以外の都道府県で若者セミナーに登壇すること。若者マーケターとしてTV出演も果たしたい!

(繊研新聞本紙20年2月14日付)



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