【シブヤ109ラボ所長の#これ知ってないとやばみ】③

2018/12/23 06:20 更新


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 「今の若者はお金を使わない」「○○離れ」とよく言われますが、それは若者にお金を使う価値を感じさせられていないからかもしれません。

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SNSの交流が消費に

 確かに今の若者は「不況がデフォルト」な環境で育っているため、「本当に必要か」を見極め、堅実にお金の使い道を決めるという傾向が強いです。無料で楽しめるコンテンツにも慣れています。

 しかし、すべてのコンテンツに対してそのような態度ではありません。それぞれ「時間やお金を惜しみなく使うコンテンツ」を持っていて、メリハリを付けているのが、今の〝アラウンド20〟の実態です。

 実際に私たちの独自の定量調査でも、「自分の好きなものに打ち込みたいストイックタイプ」が最も高い市場構成比を占めており、いわゆる「ヲタ気質」のある女子が多いことが分かっています。全国のアラウンド20女子400人を対象とした調査では、全体の69.3%が「自分が○○ヲタである」と自覚しているという結果となりました。

 中でも「アニメ・漫画」「アイドル」「音楽アーティスト」のヲタが多いのですが、コンテンツによって、重視している点が異なります。例えば、アニメ・漫画ヲタは「作品の世界観の再現度」、アイドルヲタは「グッズのコンプリート」、音楽アーティストヲタは「ライブ(グッズのみの販売などはあまり興味がない)」など、それぞれの消費行動の基準をもとに〝ヲタ活〟に励んでいるのです。

 しかし、全く共通点がないわけではありません。対象のコンテンツと消費行動の基準が違っても、必ず存在する消費行動があります。それは「ヲタ間での交流」が関係した消費行動です。まず前提として、最近ではツイッターを中心としたSNSでの、面識のない「共通のコンテンツのヲタ」と交流することが一般的となっています。

 〝推しメン〟が一緒だったり、チケットの譲渡やグッズの交換などをきっかけにSNS上で交流が生まれ、最終的にはイベントやコンサートに一緒に行く関係になることも多いようです。SNSをきっかけに友達を作ることにあまり抵抗を感じていないのが、今のアラウンド20の特徴とも言えるでしょう。

アラウンド20の約7割が自身を“○○ヲタ”と認識している

ツボを理解しよう

 では、ヲタ間での交流からどのように消費行動が生まれているのか。アニメ・漫画ヲタの場合、非公式ではあるものの、ただ作品を楽しむだけではなく、「作品の二次創作」を通じてヲタ間で消費行動が生まれています。コミケなどで知られている同人誌やイラストだけではなく、最近では好きなキャラクターをイメージしたハンドメイドアクセサリーの作成・販売なども増えていて、同じヲタにしか分からないツボを押さえた作品が他のヲタの心をつかんで経済を動かしているようです。

 アイドルヲタの場合、コンサートに行く際に、推しメンのうちわを作ったり、ヲタ同士でお揃いコーデをするなどの行動は昔からあるのですが、最近ではヲタ間での「お菓子交換」や「手作りのグッズ交換」が当たり前になっているようです。

 彼女たちはコンサート当日の「初めて生で会うヲタ友との交流」に備えて、前日にお菓子を大量に購入し、小分けにラッピングをしてあいさつ代わりに渡すことで、会話のきっかけ作りをしているようです。1回の予算はおよそ1000~2000円。10人ほどのヲタ友に配るとのことです。コンサート以外でも、推しメンの誕生日当日にヲタ友で集合し、本人不在の誕生日パーティーを開くこともあります。

 このように、「好きなことにお金や時間を使うことをいとわない」という価値観のもと、充実したヲタ活を繰り広げています。彼女たちの各コンテンツへの熱量が、公式の枠にとどまらずに、新たな消費行動を生み出しているのです。

 繰り返しになりますが、今の若者はお金を使わないのではなく、優先順位を付けて取捨選択しています。そのため、「若者の○○離れ」という切ないワードをなくしていくには、彼女たちの好きなことに対するツボを理解し、「お金を使う価値」を彼女たちに自発的に見いださせることが非常に重要です。

 ●長田麻衣(おさだ・まい)

 シブヤ109ラボ所長。総合マーケティング会社にて、主に化粧品・食品・玩具メーカーの商品開発・ブランディング・ターゲット設定のための調査やPRサポートを経て現職。毎月200人の若者と接する毎日を過ごしている。好きなものは、うどん、カラオケ、ドライブ。今年の目標は、若者マーケッターとしてテレビ番組に出ること、腹筋を割ること。

(繊研新聞本紙11月9日付)


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