中国・上海での新型コロナウイルス感染拡大による都市封鎖が解除へと向かっているが、1~4月の主要市省財政収入(税収、土地売買収入、増値税など含む)や主要経済指標をみると、22年の上海を取り巻く経済環境は険しい状態が続くと予想される。上海の4月単月工業総生産額は前年同月比61.6%減、輸出額は57.3%減となり、財政収入は48.2%減。上海周辺都市の財政収入も36~55%減少した。5月から生産・物流が回復して経済が戻るとされているが、ゼロコロナ感染防止策の継続次第では外資の撤退懸念も出るなど、先行きは厳しい。
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上海は中国とアジア太平洋全体の金融センターで、外資企業は上海に集中している。とはいえ、ここ数年は経済環境がよくなく、数十年の投資ブーム後は、外資進出や開業自体が減り、新しい雇用も生まれず、生産への需要も下がっていた。
ただ、21年は中国全体がコロナ禍から早期に回復したため、「消費・輸出・投資」の3本柱が順調で経済発展したが、22年3月から変異種のオミクロン株がまん延し、上海では都市封鎖を余儀なくされた。
問題は感染者ゼロ施策だ。全市民に自宅待機を求め、生産・消費を止めたため、市財政が大量に投入される一方、財政収入は大幅に減少した。