「売れ残り・在庫ロス削減」「オンデマンド生産」――コロナ禍を経験した日本のアパレル業界で注目されるキーワードだ。これを30年以上も前から先取りし、目指してきたのがセーレン(福井)の「ビスコテックス」。インクジェットを活用した画期的なプリントシステムは、機能や凹凸も付与できるデジタルプロダクションシステムとして進化し、非衣料・非繊維領域にも広がった。そして今、ビスコテックスが描いた理想は時代のニーズとマッチし、可能性を大いに高めている。
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インクジェットを採用
セーレンがビスコテックスを初めて世に披露したのは1989年(平成元年)5月。東京で開催した自社イベントにおいてだった。色柄をコンピューターで入力すると、2~3時間後にはテキスタイルとして製品化され、しかも1万以上の色を表現できる。従来のプリント手法では作れないグラデーションのような繊細なデザインも可能という、夢のような技術だった。