仕入予算ってどう決めたらいいの?2(佐藤正臣)

2017/01/13 00:00 更新


佐藤せんせの算数で極めるMDへの道⑫


 大手セレクトショップでMD(マーチャンダイザー)を務めていたマサ佐藤。バリバリと仕事をしていたマサだがその実、30代後半になるまで数値管理にはまったく疎(うと)く、本格的に始めたのは大手チェーン店に契約社員として入社した38歳になってからという。

 そこで鍛えられてフリーランスになったマサは、夜ごと、ホームである三軒茶屋界わいで、悩めるバイヤーやMDに講義を行っている。自称・三茶大学の先生であるマサ佐藤の20余回にわたる講義を覗いてみた。

■ 前回のレポートはこちら→仕入れ予算ってどう決めたらいいの?


*    *    *

Dさん。ではいよいよ仕入の小遣いってどう決めたらいいの?、って話をさせて頂きます。
 

へえ。とても楽しみです(笑)。
 

Dさん。では前回2人で決めた設定の確認をもう一度しますね。設定はこうでした。
 


 1.架空の事業部の期の売上予算は1億円。粗利益率の予算は50%

 2.事業部の原価率の設定は35%。値入率の設定が65%

 3.今回はややこしくなるので、期首在庫・定番商品等の個々の会社特有の問題は設定しない。
 


 ある意味、このくらいの粗利益高がとれれば、この架空の事業部は、営業利益が黒字になるということにしましょう


 

へえ。いつもより設定が簡単で助かります。
 

では。Dさん質問です。上記の条件だと、粗利益高と売上原価高はいくらになりますか?
 

粗利益高は売上予算が1億円。粗利益率が50%なので、“(売上予算)1億円×(粗利益
率)50%=5,000万円”です。
 

では、売上原価はいくらになりますか?


 売上原価高は、売上原価高=売上-粗利益高”なので”(売上予算)1億円-(粗利益高)
5,000万円=5,000万円です”
 

もうスラスラ答えが出てきますね。その通りです。


 いつも、勉強してますんで(満足気)。


 ではDさん。ここで、ルールを一つ増やしたいと思います。


 えっ?
 

ルールとは?売れた分だけ仕入れる、というルールです。


売れた分だけ仕入れる????
 

要は消化率100%で仕入の小遣い・予算を設定するということです。
 

え~~!!消化率100%って、そんなの見たことも聞いたこともありませんよ(驚)。


まあまあ。そのことは一度置いといて。では、Dさん。消化率100%で仕入予算を設定するということは、今回の設定では仕入原価予算はいくらになりますか?
 

へえ。売れた分だけ仕入れる?消化率100%ということは・・・・!売上原価高と同額。よって、仕入原価予算は5,000万円ですか?
 

正解。その通りです。売れた分だけ仕入れる。消化率100%ということですから、売上原価高と仕入原価高はイコールに設定するということです。因みにここで使用している消化率の計算式は、“(期間)消化率=(期間)売上原価高÷(期間)仕入原価高”になります。Dさん、ではこの仕入原価予算の5,000万を仕入売価予算に置き換えると、いくらになりますか?
 

??…仕入売価予算に置き換える??どういうことですか?
 

現状、Dさんの会社の仕入予算は売価の予算建てですよね?ですから、Dさんがイメージしやすいように、元売価に置き換えてみたらどうですか、ということです。
 

へい。でも、どうやって仕入原価を仕入売価に置き換えるんですか?
 

それは、今までの講義で何度もやってきたことですよ(笑)。自分の頭で考えてみてください。
 

…(考え中)
 

ではヒントです。5,000万円の仕入原価予算を、値入率何%で今回は設定したんでしたっけ?
 

(引き続き考え中…)!あっ、わかりました。仕入原価予算5,000万円で、値入率の設定が65%ということは、原価率の設定が35%。ですから。“(仕入原価予算)5,000万円÷(原価率)35%=1億4,285万7千円”です。
 

はい。正解です。実はこのことを講義の初期で何度も学びましたね。
 

はい。そうでした。
 

では。Dさん。この数字を見て何か気づいたことありません。
 

 ……
 

あっ!M:気づきましたね。では、この続きは次回!どうぞ皆さんお楽しみに!!
 

(この人もったいぶるな~)。



 



95年(株)ノーリーズにアルバイトとして物流倉庫からスタートし、店頭勤務7年(レディース)。
02年より(株)ノーリーズにおいてメンズ(フレディ&グロスター・ノーリーズメンズ)立上をMDとして担当。
10年よりフリーランスとして活動開始。
シャツメーカーの新ブランド開発の企画サポート。
その他、新規ブランドの立上マーチャンダイジング計画など、
様々なフィールドで活躍したのち、14年5月末、株式会社エムズ商品計画を設立。
小売り企業へのMDアドバイスや専門学校での講義・また海外での講義等。
現在、多方面で活躍中
www.msmd.jp



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