接客は、「しゃべる(話す)」ことが仕事と思いこんでしまうと、お客様の地雷を踏んでしまう事があります。
「話しかけてほしくない」と思っているお客様もいらっしゃるからです。
そんな場面を、無言のキラートークで対応して、お客様に感謝されたというある販売スタッフの体験をお伝えします。
出典:「レックスタッチ」
きつい表情のお客様が来店
開店直後に、1人の女性がすこしきつい表情のまま、すっと入店してきました。
スタッフと目を合わせることもなく、ちょっと乱暴な仕草で、1つのバッグを手に取ると、「これ、頂ける?」と突きだします。なにかあったのだろうと思い、「かしこまりました。ありがとうございます」と商品を受取り、素早くレジを済ませて、入口までご一緒しました。
お買上げの商品をお渡ししたとき、「あなた、お名前は?」といきなり尋ねられたのです。
「どこのスタッフもやたら話しかけてくるし、聞いてくるのよね。あなたは黙って対応してくれて嬉しかったわ。実は、今朝、思春期の息子と大喧嘩して頭に来たものだから。先ほどはごめんなさいね、失礼してしまって!」
「そうでしたか。私の息子もちょうどその時期なんですよ。新学期もいろいろと大変ですよね!朝早くからご来店いただき、ありがとうございました。また遊びにいらしてください」とお見送りしました。
その後、再度の来店をいただき、顧客になられたそうです。
「このお客様に、もう一度会うことはあるだろうか?」「またお会いしたい」と思ってお相手をすれば、接客にも気持ちが入ります。
相手を想えば、ときには「無言」での対応を選ぶ場合もあるという事例です。物を言わない、「無言」もキラートークになり得ます。
■「レックスタッチ」運営元について
藤永幸一 20年のアパレル体験で痛感したこと=仕事の悩みは、本当のところ、「人間関係」。2000年に、「レックス」を設立。「仕事を楽しむスキル」を学んで、「元気な現場」をつくるサポートをスタート。