【売り上げアップを目指すためには】デサントジャパン 山田洋介さん ロジカルにPDCAを回す

2025/09/17 05:30 更新


デサントジャパン ブランドマーケティング第2部門リテールビジネス部付部長役(セールスプロフェッショナル) 山田洋介さん

 魅力的な商品を揃え、客に伝えていく店頭スタッフとの関係性は重要だ。店頭での効率化や連動・連携を密にした取り組みが大切になっていく。成功事例を広め、互いのコミュニケーションを深めて課題を解決するなどで、売り上げや購買客数を上げている。

 05年4月入社の山田洋介さんは、販売員、店長を経て19年から店長を兼務しながら複数の店舗を統括するスーパーバイザーに昇格した。22年からは複数のゴルフブランドを横断的に扱う新業態「デサントゴルフコンプレックスギンザ」(DGCG)の店長も兼ねたスーパーバイザーの上級職となり、25年4月に現在のポジションに就く。

 「セールスプロフェッショナル」とはこの春にリテール部内に新たにできた役職だ。店長・販売員だけでなく、本部の営業やマーケティングともやり取りし、店舗運営や店頭業務の改善、販売人材の育成、業態やブランドごとの販売促進などに取り組み、売り上げアップを目指す。山田さんは東京・銀座と福岡・天神にあるデサントゴルフコンプレックスと、「デサント」ブランド以外の直営店15店及びアウトレット店30店の計45店を束ねる。

数値管理で成果

 山田さんに求められている役割の一つは各店に埋まるノウハウを顕在化させ、他店に水平展開すること。最近は「新規獲得客の再来店」を促すノウハウを、各店に動機付けできた。「来店客数の増加」「新規顧客の獲得」「購買率のアップ」といった目標は分かりやすく取り組みやすいテーマだが、一度購入した客にその後も足を運んでもらうことも重要だ。

 新たに会員となった客が再来店する率が高かった店舗では、2回目、3回目以降の来店と購入決定までをKPI(重要業績評価指標)として定めて数値管理し、成果を上げていたことから、同様のやり方を他店に紹介・導入した。これまでルーチンとして漫然と取り組みがちだった購入者へのサンクスレターなどの業務について再来店を促す施策として位置付け、各店のスタッフが目的意識を持って作業できるようにした。その結果、初回購入者のうち再来店と購入につながった率を25%とすることに成功。「該当する数値を月ごとに出すだけでも取り組み方が変わった」という。

店舗発企画を本部予算で実現したことも(DGCGにザンダー・シャウフェレモデルの期間限定売り場を設けた)

在庫最小化にも

 販売現場には効率的な店舗運営のヒントも眠っている。山田さんはある地方店舗で本部が推進するOMO(オンラインとオフラインの融合)サービスを、店頭在庫の最小化に活用しているケースを見つけた。通常は客の欲しいサイズや色が店頭に無い時に客の自宅へ倉庫から郵送する仕組みだが、その店舗では客の購入した現物が売り場にあっても自宅へ郵送する提案を積極的にし、許可を得られればOMOサービスを活用していた。

 つまり製品をサンプル扱いにし、店舗在庫を薄くしていたのだ。山田さんはこのやり方を「店頭の在庫回転率を高めながら、お客様には持ち帰る手間を減らせて喜んでもらえる双方にメリットのある」施策として評価、他店にも推奨した。すると、その売り方を採用する店舗が増え、「売り上げに占めるOMO比率を15%にした店舗も現れた」という。

漫然と売らない

 趣味は「売り上げを上げること」。自身で企画した施策で結果が数字に表れるのは醍醐(だいご)味と言えるだろう。そんな山田さんが仕事をするうえで心掛けているのは、「売れた理由」をロジカルに解明し、成功事例を他店でも再現できるようにすること。「漫然と売ることがないよう課題を明確にし、成長のために何をするか決め、やってみてどうだったか検証する」。こうしたPDCA(計画・実行・評価・改善)サイクルを店舗ごと・スタッフごとに繰り返している。

 今後も成果が上がっているのに日の目を見ていない事例や地方でくすぶっている人材などを発掘し、広げたいという。

(繊研新聞本紙25年9月17日付)

関連キーワード人が育つ企業



この記事に関連する記事

このカテゴリーでよく読まれている記事