「Ryunosuke TOKYO」は、デザイナーの村田龍之介さんが日本の伝統技術を駆使して作るメンズブランドだ。ブランド立ち上げから4年、今年10月にはカナダのバンクーバー・ファッションウィークに招待され、初のショーを披露。「Vintedge(ビンテッジ=ビンテージにエッジを合わせた造語)クラフト・モダンだ」と注目され、ミラノやニューヨークからの招待も舞い込んだ。
バンクーバー・ファッションウィークでは12ルックを見せた。ブランドのアイコンである西陣織のテーラードジャケット(66万円)をはじめ、シャツやネクタイ、カマーバンド、サスペンダーを合わせたスタイリングを揃えて、映画『華麗なるギャツビー』の舞台となった1920年代にインスパイアされたショーを作り上げた。BGMのジャズも自ら選曲。ショーは来場者から高く評価され、反響は大きかった。
村田さんの服作りは高品質な素材使いと日本の技術による手の込んだ作りが特徴だ。ジャケットに使う西陣織はオリジナルで、テーラーリングはフルキャンバス仕立て。ハ刺し襟には本金糸刺繍を施し、ボタンは西陣織の包みボタンと、匠の技がつぎ込まれている。
ブランドの立ち上げは19年。バンタンデザイン研究所を卒業後に働きながら産地や工場を回るなど服作りを探求してきた。直後にコロナ禍で活動休止となったが、ラグジュアリーブランドで派遣社員として働き、ブランドビジネスや小売りノウハウを学びながら西陣織のオリジナル生地作りを進めた。21年にはECサイトを開設し、合同展プラグインに出て再出発した。
来年は今回のショーを足がかりに海外発信を強め、他方で国内では期間限定店の出店を軸に販売実績を伸ばす計画。今後は企画を広げ、レディスで西陣織のハンドバッグやイヤリング、川俣シルクのストール、メンズでグッドイヤーウェルト製法の靴、国産デニムを加えて「技術の継承と世界発信につなげたい」考えだ。