「ラム・シェ」(安原瑠美)は9月12日、東京・草月会館の石庭で24年春夏のショーを単独で見せた。
会場に入ると、ショーン・タンの絵本『エリック』が配られる。小さな交換留学生をもてなす家族の優しさを描いたストーリーだ。その雰囲気を感じさせる柔らかなシルエットや色柄にクラフトテクニックを取り入れ、変化のあるレイヤードスタイルを組み立てた。マーブル風のプリント柄のブラウスに、モダンな花のモチーフをかたどったクロシェニットのミニ丈ベストを重ねる。自然の柔らかさを感じさせるテクスチャーと、人工的な装飾とのコントラストによって、緩やかな輪郭にメリハリを付けていく。透け感のあるシャツやラップスカートには、イエローやネオングリーンのスパンコール刺繍を入れてストリートムードを添えた。
全体的に量感のあるシルエットを生かし、男性モデルも交えてジェンダーフルイドな一面も見せた。「絵本の、家族が留学生の個性を受け入れる大らかさに引かれ、ショーを通じて人間性や小さな美しさを見いだす心を伝えたいと思った」と安原。
(須田渉美)