都心の有力商業施設では近年、館内の好立地にイベントスペースを設けて、期間限定店を誘致する動きが増えている。実店舗を持たないDtoC(消費者直販)ブランドにとっても、期間限定店の出店は主要戦略となっている。期間限定店の役割は、時代によって変化している。商業施設とブランド、双方の視点から期間限定店の今の役割を探る。
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商業施設側 鮮度アップ、集客装置
渋谷や新宿など都心の商業施設はコロナ禍以降、館内の人が多く集まる好立地に期間限定店のためのスペースを改めて増やしている。常設店の出店では条件が合わない新興のブランドなど、旬を捉えたアイテムやシーズンごとのトレンドに合うデザインを揃えたブランドを臨機応変に集めることができるからだ。
スペース増設も
SHIBUYA109渋谷店では20~22年のコロナ下に、20代向けのテナントの退店が多かった。牛島渉総支配人は「あの時期の期間限定店には空床を埋める役割もあった」と当時を振り返る。
コロナ禍が終わり、空床に入るテナントも増えてきたため、改めて「館全体を活性化し、ファッションの109を強める」場として、24年3月に1階エントランス前にファッションブランドの期間限定店スペース「リミテッド・ポップアップ・ブリッジドット」をオープンした。
大理石でできたスペースで、ショーウィンドーが文化村通り沿いに位置する。出店ブランドの負担を減らすことも考え、後から内装に費用をかけなくても、「商品が映える」ような高級感のある内装にした。立地も手伝い、通行客の来店が多いことも特徴だ。
同スペースでは20代向けのレディスブランドを中心に、ハイブランドなどこれまで館と接点がなかったようなブランドも誘致する。現在、年間40回のぺースで期間限定店を開いている。
出店ブランドは、ブランドの希少性やリアル出店の有無、物作りの背景、SNSの成長性など、独自の出店基準を設けて、主に施設側が選んでオファーをかける。
労力はかかるものの、「収益は想定を超えてきている」という。出店のニーズが増えていることから、期間限定店のためのスペースを増設することも検討している。
一定規模に成長
ルミネは、ルミネ新宿とルミネエストに勢いのあるブランドを期間限定で出店できるイベントスペースを設けている。
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