23年春夏パリ・コレクション 「サンローラン」セクシーを凛々しさの共存

2022/09/29 06:30 更新


 【パリ=小笠原拓郎、写真=大原広和】「サンローラン」の会場となったエッフェル塔を臨む広場に、噴水を囲むようにして四角い空間が作られている。この広場にはなかったはずの噴水まで作るなど、会場セッティングにこだわった。そこに登場するのは、サンローランらしいセクシーさと凜々(りり)しさの両面を持つスタイルだ。

 ジャージーのマキシドレスと合わせるのは、レザーのコートやライダーズジャケット。ハードなアウターとの対比で女性らしさを強調する。コートの多くはスクエアショルダーの構築的なシルエット。80年代を思わせるショルダーラインが強さをアピールするが、ジャージーのドレスやセットアップは体のラインをさらけ出し、ときにベアバックなど素肌を見せるデザインになっている。黒、パープル、ブラウン、グリーン、マスタード。様々な色のジャージードレスとハードなアウターがコントラストを描く。

サンローラン
サンローラン

 ジャージードレスは、身頃の布がそのままドレープとなりスカーフのように顔を覆う。そのドレープいっぱいのラインは、イヴ・サンローランの別荘もあったマラケシュのエキゾチックなムードをはらむ。ヘリンボーンツイードのトレンチコートからメルトンウールのコートまで、アウターはスクエアショルダーで貫かれ、80年代の強い女性像を思わせる。

 布をねじってブラトップのようなディテールにしたジャージーのコンビネゾン、ペグトップパンツとタイトなトップのセットアップ。ドレスも含めて体のラインを強調したアイテムが充実する。シンプルなラインを描くタイトなアイテムを、大きなメタリックバングルといったアクセサリーが彩る。シンプルな中に、サンローランのエッセンスが散りばめられたコレクション。

サンローラン


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