【パリ=小笠原拓郎】23~24年秋冬パリ・オートクチュールは、どこかシンプルに収めたコレクションが増えている。もちろんオートクチュールである以上、ふんだんに手仕事の技を生かしてはいるのだが、それでもすっきりと見えるのが今シーズンの特徴となっている。いわゆるレッドカーペット向けのゴージャスでボリュームいっぱいのドレスではなく、日常性やテーマ性を感じるコレクションが興味深い。
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シャネルは朝のセーヌ河畔をショー会場に選んだ。気持ちの良い青空の下、エッフェル塔を望むセーヌ河畔にはポスターや絵を売る店が並ぶ。その絵や写真はシャネルに関するものばかり。そんなロケーションを通り過ぎて着席すると、停泊している船(バトームッシュ)からモデルたちが次々と歩いてくる。
モデルが手にする小さなバスケットのようなバッグは、色とりどりの花があふれている。まるで花を買いに街に出たかのような雰囲気に包まれる。赤いジャケットのモデルは、犬を連れて散歩するパリジェンヌのようだ。それは飾らないパリの日常的な光景のようでもあるが、そのさりげない日常性の中に目もくらむような手仕事の技が散りばめられている。
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