【パリ=小笠原拓郎、青木規子】24~25年秋冬パリ・ファッションウィークは、ブランドの原点に立ち返るデザイナーが目立つ。ベーシック、スタンダードがトレンドワードとなるなか、アイテムだけではないブランドの定番を見つめ直す作業が行われている。
シャネルのショー会場に入ると、巨大なスクリーンに海辺の風景が映し出されている。夜明け前、あるいは夕暮れ時の空の色がゆっくりと変わっていく光景に、ロマンティックで豊かな気持ちが生まれてくる。ショーの冒頭には、映画『男と女』を思わせるモノクロの映像が流れ、この海辺の散歩道がドービルであることを示唆される。
ドービルは男と女の舞台であると同時に、ココ・シャネルが帽子店をオープンし、シャネルが始まった場所でもある。そんな歴史ある場所に着想したコレクションは、大きなブリムのフロントを折り返し留めたハットがキーアイテムとなった。柔らかな色のハットと組み合わせるのは、ネイビーのコートやキュロットのセットアップ。アイコンともいえるツイードスーツやツイードコートも、しっとりと落ち着きのある色使い。
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